看護師のオンコール・自宅待機は労働時間?待機手当・呼び出し・残業代を解説

働き方・給与・制度
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「オンコールで家にいても、いつ呼ばれるかわからなくて落ち着かない」

「お酒も飲めないし、遠出もできないのに、待機手当はこれだけ?」

「病院から呼び出された時間は残業になる?」

「そもそも自宅待機って労働時間じゃないの?」

手術室、救急、カテーテル室、内視鏡、訪問看護などでは、勤務時間外にオンコールを担当することがあります。

自宅に帰っていても、

  • 携帯電話を常に持つ
  • 電話にすぐ出る
  • 呼び出されたら病院へ向かう
  • 一定時間以内に到着する
  • 飲酒や遠出を控える

といった制約があるため、

「これって本当に休みなの?」

と感じる看護師もいると思います。

結論からいうと、オンコールの自宅待機時間が労働時間になるかどうかは、一律には決まりません。

重要なのは、

待機中にどれくらい行動の自由があり、実際に労働から離れられているか

です。

日本看護協会も、自宅での電話当番は、対応が発生する時間以外を自由に過ごせる場合には労働時間と認めることは難しい一方、電話対応や出動が頻繁で、行動の自由に対する拘束が強ければ、待機時間そのものが労働時間と判断される可能性があると説明しています。

この記事では、

  • オンコールと自宅待機の基本
  • 自宅待機が労働時間になる判断ポイント
  • 待機手当と残業代の違い
  • 呼び出された場合の給与
  • 院内待機との違い
  • 給与明細や賃金規程で確認したいこと
  • オンコールが負担なときの相談先

を、看護師向けにわかりやすく解説します。

関連記事:看護師と労働基準法|夜勤・残業・休憩・有給の基本

関連記事:看護師の給与明細の見方|基本給・夜勤手当・控除をわかりやすく解説


結論:オンコールは「待機・対応・出動」を分けて考える

オンコールのお金と労働時間を考えるときは、すべてを一括りにしないことが大切です。

大きく3つに分けます。

① 自宅などで待機している時間

電話や呼び出しに備えながら、自宅などで過ごしている時間です。

この時間全体が労働時間になるかは、拘束の程度などを踏まえて個別に判断されます。

② 電話対応をしている時間

患者さん、家族、病院などから電話を受け、業務上必要な対応をしている時間です。

実際に仕事をしている時間なので、労働時間として考える必要があります。

③ 呼び出されて実際に勤務している時間

病院や患者宅などで実際の業務を行っている時間です。

当然ながら、実際に勤務している時間は労働時間です。

つまり、

「オンコール当番だったか」ではなく、「その時間に何をしていたか」

を分けて確認する必要があります。



そもそもオンコールとは?

オンコールとは、通常勤務とは別に、緊急時の連絡や呼び出しに対応できるよう待機する勤務形態です。

日本看護協会の資料では、オンコールについて、自宅など緊急時に対応可能な範囲で待機し、呼び出しに応じて勤務につく勤務形態として扱われています。

看護師では、

  • 手術室
  • 心臓カテーテル室
  • 内視鏡室
  • 救急
  • 訪問看護
  • 透析
  • 分娩
  • 一部の検査・処置部門

などで採用されることがあります。

勤務先によって、

  • オンコール
  • 自宅待機
  • 宅直
  • 待機
  • 拘束

など呼び方が異なることもあります。

名称よりも、実際にどの程度拘束される勤務なのかを見ることが重要です。


自宅待機は労働時間になる?

労働時間の基本は、

使用者の指揮命令下に置かれている時間

です。

厚生労働省は、使用者から指示があった場合にすぐ業務へ従事することを求められ、労働から離れることが保障されていない待機時間、いわゆる「手待時間」は労働時間になると示しています。

一方、自宅で過ごせるオンコールについては、病院内で待機している場合とは事情が異なります。

日本看護協会は、自宅電話当番で対応が発生していない時間を自由に過ごせる場合、待機時間全体を労働時間とみなすことは難しいと説明しています。

したがって、

自宅待機=必ず労働時間

でも、

自宅待機=絶対に労働時間ではない

でもありません。

実際の拘束状況を見る必要があります。


労働時間かどうかを見る3つのポイント

オンコール待機の判断で特に重要なのは、次の3点です。

① 呼び出しや電話対応の頻度

一晩待機してもほとんど電話が鳴らない場合と、

何度も電話が来て、そのたびに患者情報を確認したり指示を出したりする場合では、負担が違います。

頻繁に業務対応が発生していれば、実質的に労働から離れられているかを考える必要があります。

② 呼び出されたとき、どれくらい早く到着する必要があるか

「連絡後30分以内に病院へ到着」

など厳しい到着条件があれば、待機中に行ける場所は大きく制限されます。

一方で、到着時間に大きな制約がなければ、自由度は比較的高くなります。

③ 待機中の行動がどれくらい制限されるか

たとえば、

  • 飲酒できない
  • 遠出できない
  • 携帯電話を常に携帯する
  • 電波の届かない場所へ行けない
  • 入浴中でもすぐ電話に出る必要がある
  • 呼出しに備え車で移動できる状態が必要

などです。

厚生労働省もオンコールの判断要素として、呼出し頻度、到着までに要求される時間、待機中の活動制限などを挙げています。これは医師向けQ&Aですが、労働時間を判断する基本原則そのものは「労働から離れることが保障されているか」です。



「待機手当」と「残業代」は同じではない

オンコールで混乱しやすいのが、

待機手当と残業代の違い

です。

待機手当

オンコール当番になったことに対して、勤務先の賃金規程などに基づいて支給される手当です。

たとえば、

「平日1回○円」

「休日1回○円」

などと設定されます。

全国の看護師に共通する一律金額が決められているわけではなく、勤務先によって金額や支給条件は異なります。

日本看護協会の2024年度調査では、待機のみのオンコール手当がある事業所の1晩・日あたり平均額は2,353円でした。1,000円以上2,000円未満、2,000円以上3,000円未満の事業所が比較的多く、金額には幅があります。

残業代・時間外手当

一方、実際に業務をした時間が時間外労働などに当たる場合に関係する賃金です。

つまり、

オンコール待機手当をもらっているから、呼び出された時間の残業代まで自動的に含まれている

とは限りません。

給与明細と賃金規程で、何に対する手当なのかを確認する必要があります。



呼び出されたら残業代はどうなる?

オンコール中に実際の業務が発生した時間は、労働時間になります。

日本看護協会も、訪問看護のオンコールについて、緊急訪問など実際に業務へ従事した時間については残業代が支払われるケースを前提に説明しています。

ただし、

呼び出された=すべて同じ割増率

ではありません。

その時間が、

  • 所定労働時間を超えているのか
  • 法定労働時間を超えているのか
  • 午後10時〜午前5時の深夜時間なのか
  • 法定休日なのか
  • 変形労働時間制を採用しているのか

などで扱いが変わります。

特に看護師は交代制勤務や変形労働時間制が使われることがあるため、単純に「呼び出し時間×1.25」と計算できない場合があります。

関連記事:看護師と労働基準法|夜勤・残業・休憩・有給の基本


深夜に呼び出された場合は?

午後10時から午前5時までに実際に働いた場合には、深夜労働として割増賃金が関係します。

また、時間外労働や休日労働と重なる場合には、条件に応じて割増率も変わります。

ここで注意したいのが、

オンコール待機手当と深夜割増は別の考え方

という点です。

「夜中に呼ばれたけれど、オンコール手当があるから追加の深夜割増はない」

と自己判断せず、給与明細や勤務先の賃金規程を確認しましょう。

関連記事:看護師の夜勤手当はなぜ上がりにくい?制度と病院経営の視点


電話対応だけの場合は?

訪問看護などでは、病院や患者宅へ出動せず、電話だけで対応が終わることもあります。

たとえば、

  • 症状について相談を受ける
  • 患者情報を確認する
  • 対応方法を説明する
  • 医師へ連絡する
  • 記録を残す

などです。

こうした業務を実際に行った時間は、

「家にいたから仕事ではない」

とは考えません。

実際に業務として電話対応・記録等をしていれば、その時間について労働時間として記録できているか確認することが重要です。

日本看護協会の2024年度調査では、訪問看護ステーション勤務者について、待機だけでなく電話対応や緊急出動に別の手当を設けている実態も示されています。


院内待機と自宅待機は同じ?

同じ「待機」でも、

院内で待つ場合と自宅で待つ場合では大きく異なります。

院内で、

「呼ばれたらすぐ業務へ入る」

ことを求められ、自由に職場を離れられないのであれば、いわゆる手待時間として労働時間になる可能性が高まります。

厚生労働省は、即時に業務へ従事することを求められ、労働から離れることが保障されていない待機時間を、労働時間として扱う必要があるとしています。

一方、自宅待機では、

  • 自宅で食事できる
  • 家族と過ごせる
  • 睡眠できる

などの自由があります。

ただし、先ほど説明したように、呼び出し頻度や行動制限が強くなれば判断も変わります。



オンコール手当は高い?低い?

手当額だけを見て、

「全国平均より安いから違法」

とは判断できません。

待機手当自体は、勤務先の賃金制度によって異なります。

一方で、

  • 月に何回担当するか
  • 平日と休日で金額が違うか
  • 電話対応に追加手当があるか
  • 呼出し手当があるか
  • 実働時間の残業代が別に出るか
  • 深夜割増がどう扱われるか

まで含めて評価する必要があります。

たとえば、

待機手当が高くても毎月10回以上担当し、呼び出しが頻繁で睡眠が削られる職場と、

待機手当がやや低くても当番回数が少なく、電話や出動もほとんどない職場では、

負担の感じ方はかなり違います。

金額だけでなく、「拘束1回あたりの実際の負担」を見ることが大切です。


給与明細で確認したい項目

オンコールを担当している看護師は、一度給与明細を確認してみましょう。

見るポイントは、

  • オンコール手当
  • 待機手当
  • 拘束手当
  • 呼出し手当
  • 時間外手当
  • 深夜手当
  • 休日手当

などです。

名称は勤務先によって異なります。

また、給与明細だけでは、

「オンコール手当の中に何が含まれているのか」

までわからないことがあります。

その場合は、賃金規程も確認しましょう。

関連記事:看護師の給与明細の見方|基本給・夜勤手当・控除をわかりやすく解説


賃金規程で確認したいこと

賃金規程や就業規則では、次の項目を確認します。

待機1回はいくら?

平日・休日で違うか。

呼出し手当はある?

出動1回ごとの手当があるか。

実働分の残業代は別に支給される?

「呼出し手当だけ」なのか、時間外勤務も加算されるのか。

電話対応だけでも申請できる?

数分の電話や記録がどう扱われるか。

移動時間はどう扱われている?

病院までの移動時間について勤務先でどのように規定しているか。

何分以内に到着する必要がある?

オンコール中の拘束度にも関わります。


オンコール勤務を記録しておこう

「負担が大きい気がする」

と思ったら、まず記録がおすすめです。

1か月だけでも、

  • 待機回数
  • 電話が来た時刻
  • 電話対応時間
  • 出動回数
  • 病院到着時刻
  • 業務開始・終了時刻
  • 帰宅時刻
  • 翌日の勤務
  • 睡眠への影響

を記録してみましょう。

すると、

「月8回待機している」

だけでなく、

「月8回のうち5回電話があり、3回出動している」

など実際の負担が見えてきます。

職場へ相談するときにも、

「つらいです」

だけより、

「過去3か月で待機24回、電話対応15回、出動8回でした」

と整理した方が話しやすくなります。



オンコールは家計では「変動収入」と考える

オンコール手当や呼出し手当があると、月によって手取りが増えます。

ただし、

  • 当番回数が減る
  • 部署異動する
  • オンコール制度が変更される
  • 呼び出される回数が変わる

などで収入は変わります。

そのため家計管理では、

オンコール収入を毎月必ず入る固定収入として扱いすぎない

方が安全です。

基本給などの安定収入を中心に生活費を組み、オンコールや残業などの変動収入は、

  • 生活防衛資金
  • NISA
  • 特別費
  • 自己投資
  • 旅行

などへ振り分ける方法があります。

関連記事:看護師の給与明細の見方|基本給・夜勤手当・控除をわかりやすく解説


車の維持費とも関係する

地方勤務では、オンコールのために車が必要になることがあります。

「連絡から30分以内に到着」

という条件があり、深夜には公共交通機関が動いていなければ、車を持つことが事実上必要になるケースもあります。

この場合、車は単なるぜいたくではなく、

働き方を維持するためのコスト

という側面があります。

車の費用を見直すときは、オンコール勤務の有無も含めて考えましょう。

関連記事:看護師の車は本当に必要?|地方勤務・夜勤の維持費と見直し方


「オンコールがきつい」と感じたら

オンコールの負担は、単に手当が少ないことだけではありません。

  • いつ呼ばれるかわからない
  • 深く眠れない
  • 飲酒できない
  • 遠出できない
  • 家族の予定を立てにくい
  • 翌日も通常勤務
  • 出動後の休息が短い

など、生活全体へ影響します。

そのため、

「待機手当を増やしてほしい」

だけでなく、

  • 当番回数
  • 連続待機
  • 呼出し後の翌勤務
  • 複数人待機体制
  • 代休・休息
  • 到着時間の条件

まで含めて改善を考えることが大切です。


職場へ相談するときは「手当」だけにしない

たとえば職場へ相談する場合、

「オンコール手当を上げてください」

だけだと、金額の交渉だけになりやすいです。

一方で、

  • 月平均の当番回数
  • 出動回数
  • 電話件数
  • 到着時間制限
  • 夜間出動後の翌勤務
  • 他施設の制度

などを整理すると、

オンコール制度全体の改善

として話し合いやすくなります。

労働組合がある職場では、複数職員の実態を集めて交渉する方法もあります。

関連記事:労働組合とは?看護師が知っておきたい組合活動の基本


転職するときにもオンコール条件を確認する

求人票で、

「オンコールあり」

とだけ書かれている場合は、それだけでは実態がわかりません。

面接や見学で、可能であれば次を確認しましょう。

  • 月平均何回担当する?
  • 平日・休日の回数は?
  • 待機手当はいくら?
  • 電話は平均何回?
  • 出動は平均何回?
  • 何分以内に到着する?
  • 呼出し手当はある?
  • 実働時間の時間外手当は別?
  • 呼出し後の翌日は通常勤務?
  • 車は必須?

月給が高く見えても、オンコール回数が多いことで増えている場合があります。

給与条件は、

「いくらもらえるか」だけでなく、「何をしてその金額になるのか」

まで確認しましょう。


まとめ

看護師のオンコールは、自宅で待機するだけに見えて、実際には生活への拘束が大きい働き方です。

この記事のポイントをまとめます。

  • オンコールは「自宅待機・電話対応・出動」を分けて考える
  • 自宅待機が労働時間になるかは一律に決まらない
  • 基本は「労働から離れることが保障されているか」で判断する
  • 呼出し頻度、到着時間、行動制限などが判断材料になる
  • 電話対応や実際に勤務した時間は労働時間として考える
  • 院内の手待時間と自宅待機は同じではない
  • 待機手当と残業代は別に確認する
  • オンコール手当の全国一律額はなく、勤務先によって異なる
  • 日本看護協会の2024年度調査では、手当がある事業所の待機手当平均は1回2,353円
  • 給与明細だけでなく賃金規程も確認する
  • 手当額だけでなく、待機回数・出動回数・睡眠への影響も記録する
  • 転職時にはオンコール回数と実際の出動頻度まで確認する

オンコールの問題は、

「手当が安いか高いか」だけではありません。

自分の時間がどれくらい拘束されているのか。

実際にどれくらい仕事をしているのか。

その時間に対して、どのような賃金が支払われているのか。

まずそこを整理することが大切です。

今オンコールを担当している人は、次回の待機から、

電話が鳴った時刻・対応時間・出動時間

だけでもメモしてみてください。

実態を知ることが、働き方とお金を見直す第一歩になります。


注意書き

本記事は2026年9月時点の厚生労働省・日本看護協会等の公表情報をもとに、一般的な制度理解を目的として作成しています。

オンコール待機時間が労働時間に該当するかは、呼出し頻度、到着時間の制約、行動制限、勤務実態などによって個別に判断されます。

また、時間外・深夜・休日労働の具体的な賃金計算は、勤務形態、変形労働時間制、就業規則、賃金規程などによって異なります。

個別の労働問題については、勤務先の人事・総務、所属組合、日本看護協会の労働相談、労働基準監督署、社会保険労務士、弁護士などへ確認してください。


参考情報・参考サイト

  • 厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」
  • 厚生労働省「医師の働き方改革に関するQ&A(オンコール待機)」
  • 日本看護協会「労働に関するよくあるご質問」
  • 日本看護協会「ナースのはたらく時間・相談窓口」
  • 日本看護協会「2024年度 看護職員の賃金に関する実態調査報告書」
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