看護研究の結果をグラフにする方法|棒グラフ・円グラフ・表の使い分けを初心者向けに解説

看護研究
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看護研究でアンケートやデータの集計が終わったあと、

「この結果は表にすればいいの?」

「棒グラフと円グラフ、どちらを使えばいい?」

「学習会の前後比較はどんなグラフが見やすい?」

と迷っていないでしょうか。

統計結果が正しくても、数字をそのまま並べただけでは、研究発表を聞く人に伝わりにくいことがあります。

たとえば、

  • 参加あり:28人
  • 参加なし:12人
  • 学習会前:平均60点
  • 学習会後:平均75点

という結果があったとします。

数字だけでも内容はわかります。

しかし、

「参加した人と参加していない人の割合」

「学習会前後でどのくらい変化したのか」

を一目で理解してもらいたい場合は、表やグラフを使った方が伝わりやすくなります。

一方で、何でもグラフにすればよいわけではありません。

細かな数値を正確に確認してもらいたい場合は表の方が適していますし、割合を比較する場合でも、円グラフより棒グラフの方が見やすいケースがあります。

この記事では、

  • 表とグラフの使い分け
  • 棒グラフが向いている結果
  • 円グラフが向いている結果
  • 折れ線グラフが向いている結果
  • 前後比較の見せ方
  • 5段階アンケートの見せ方
  • グラフを見やすくする基本ルール
  • Excel・Googleスプレッドシートで作る方法
  • 発表スライドへ載せるときの注意点

について、看護研究初心者向けに解説します。

看護研究全体の流れをまだ整理していない方は、先に
看護研究の進め方ロードマップ|テーマ決めから発表後の改善まで
から確認するのがおすすめです。


結論|グラフは「何を見せたいか」で選ぶ

最初に結論です。

表やグラフを選ぶときは、

「どのグラフがおしゃれか」ではなく、「研究結果の何を伝えたいか」

から考えます。

基本的には、次のように整理するとわかりやすくなります。

見せたい内容最初に考える方法
正確な数値を並べたい表
複数項目の人数・割合を比較したい棒グラフ
全体に占める割合を簡単に見せたい円グラフ
時間による変化を見せたい折れ線グラフ
2つの数値の関係を見たい散布図
学習会前後を比較したい棒グラフなど
5段階評価の分布を見せたい棒グラフ・100%積み上げ棒グラフ

CDCでも、棒グラフはカテゴリーやグループごとの値を比較する用途に使用されています。円グラフは割合を示す方法として使えますが、細かな値を正確に比較したい場合には適していません。

つまり、

比較したい → 棒グラフ

全体の内訳を簡単に見せたい → 円グラフ

正確な数値を読んでほしい → 表

と考えるところから始めれば十分です。


まず「結果」と「見せ方」を分けて考える

看護研究初心者がやりやすい失敗が、

集計ソフトが自動で作ったグラフを、そのまま使うこと

です。

GoogleフォームやExcelでは、データをもとにグラフを作成できます。

しかし、自動的に提示されたグラフが研究目的に最も合っているとは限りません。Excelの公式サポートでも、すぐに作成されたグラフがデータに最適とは限らないことが案内されています。

先に確認したいのは、

「この結果で、一番伝えたいことは何か」

です。

たとえば、新人看護師20人へ質問した結果、

  • 不安がある:14人
  • 不安がない:6人

だったとします。

伝えたいことが、

「不安を感じている人が多い」

なら、人数や割合を棒グラフで示す方法があります。

一方、

14人と6人という正確な人数を資料として残したい

のであれば、表でも十分です。

データから自動的にグラフを選ぶのではなく、

研究目的 → 結果 → 伝えたいポイント → 表・グラフ

の順番で考えます。

統計方法そのものをまだ決めていない場合は、先に
看護研究で使う統計方法の選び方|初心者向け8選と早見表
を確認してください。


表を使った方がよい結果

グラフよりも表の方が向いている場面もあります。

表のメリットは、

具体的な数値を正確に確認できること

です。

たとえば、研究対象者の基本属性を示す場合です。

項目結果
対象者数30人
平均年齢32.4歳
看護師経験年数8.2年
手術室経験年数4.5年
災害訓練経験あり18人(60%)

これをすべてグラフにする必要はありません。

対象者の背景を説明するだけなら、表の方がまとまります。

表が向いているのは、

  • 対象者の属性
  • 複数の平均値
  • 人数と割合
  • 統計検定の結果
  • 多くの項目を一覧で比較する
  • 正確な数値を資料として残したい

といった場面です。


棒グラフ|項目やグループを比較したいとき

看護研究で使いやすいグラフのひとつが、棒グラフです。

棒グラフは、複数のカテゴリーやグループの値を並べて比較したい場合に向いています。

たとえば、看護師40人へ災害マニュアルについて質問し、

  • 内容まで知っている:8人
  • 存在は知っている:20人
  • 知らない:12人

だったとします。

棒グラフにすると、

「存在は知っている人が多いが、内容まで知っている人は少ない」

という傾向を確認しやすくなります。

棒グラフは、

  • アンケート項目ごとの回答数
  • 部署ごとの人数
  • 新人・中堅・ベテランの比較
  • 学習会前後の平均得点
  • 手順を実施できた人の割合
  • 研修参加あり・なし

などに使いやすい方法です。

質問項目の文章が長い場合は、縦棒グラフだけでなく横棒グラフも検討しましょう。


円グラフ|全体の内訳を見せたいとき

円グラフは、

全体を100%として、その中にどの程度含まれているか

を視覚的に示す方法です。

たとえば、40人の回答について、

  • 研修参加経験あり:28人(70%)
  • 研修参加経験なし:12人(30%)

という結果なら、

「約7割が参加経験あり」

と直感的に伝えられます。

一方、円グラフは項目が増えたり、割合の差が小さかったりすると比較しにくくなります。

CDCでは、円グラフは3〜6程度のデータ系列で割合に明確な差がある場合に適しており、正確な値を比較させる用途には推奨していません。

たとえば、

  • 23%
  • 22%
  • 21%
  • 19%
  • 15%

のような結果なら、棒グラフの方が差を確認しやすくなります。

Googleフォームが円グラフを表示した場合も、

「自動で作られたから使う」

のではなく、

「全体の内訳を見せたいのか」

で判断しましょう。

Googleフォームでアンケートを作成する段階から確認したい方は、
看護研究アンケートの作り方|質問項目作成のコツとNG例
も参考にしてください。


棒グラフと円グラフで迷ったら?

たとえば、次の回答があったとします。

回答人数
とても理解できた12人
理解できた10人
どちらともいえない5人
あまり理解できなかった2人
理解できなかった1人

この場合、円グラフでも表示できます。

しかし、

5段階のどの回答が多かったか比較したい

のであれば、棒グラフの方が差を把握しやすくなります。

一方、

  • 理解できた:22人
  • その他:8人

という大きな内訳だけを示したいのであれば、円グラフも選択肢です。

迷ったときは、

項目同士を比較したい → 棒グラフ

全体の内訳を示したい → 円グラフ

と考えます。


折れ線グラフ|時間による変化を見せたいとき

折れ線グラフは、時間の経過による変化を示すときに使いやすいグラフです。

たとえば、学習会の効果を、

学習会前
↓
直後
↓
1か月後
↓
3か月後

と評価した場合です。

平均得点が、

60点
↓
80点
↓
75点
↓
72点

と変化していれば、

直後に上昇し、その後少し低下している

という経過を視覚的に確認できます。

一方、学習会前と学習会後の2時点だけであれば、2本の棒グラフでも十分に比較できます。


前後比較はどう見せる?

院内看護研究では、

学習会前後

介入前後

を比較するケースがよくあります。

たとえば、同じ看護師20人について、

学習会前:平均60点
学習会後:平均75点

だった場合です。

もっともシンプルなのは、学習会前と学習会後の平均値を2本の棒グラフで示す方法です。

一方、研究目的によっては、一人ひとりの前後変化を線で結んで示す方法もあります。

平均値だけでは、

  • 大きく上がった人
  • ほとんど変わらなかった人
  • 得点が下がった人

の違いが見えないからです。

ここで重要なのは、

グラフで得点が上がったからといって、学習会だけが原因だったと断定しないこと

です。

他の研修、実務経験、自己学習などの影響も考えられます。

研究結果をどう解釈するか迷ったら、
看護研究の考察の書き方|結果から何を読み取るかをわかりやすく解説
もあわせて確認してください。


5段階評価はどうグラフにする?

看護研究のアンケートでは、

  • とてもそう思う
  • そう思う
  • どちらともいえない
  • あまりそう思わない
  • そう思わない

という5段階評価をよく使います。

この場合、まず使いやすいのが、回答ごとの人数や割合を棒グラフにする方法です。

回答人数割合
とてもそう思う8人20%
そう思う18人45%
どちらともいえない9人22.5%
あまりそう思わない4人10%
そう思わない1人2.5%

棒グラフにすれば、回答分布をそのまま確認できます。

複数の質問項目を比較する場合には、100%積み上げ棒グラフを使う方法もあります。

ただし、項目数を増やしすぎると読みにくくなるため、発表では研究目的に関係する項目へ絞ることも大切です。


散布図|2つの数値の関係を見たいとき

看護研究によっては、2つの数値の関係を調べる場合があります。

たとえば、

  • 看護師経験年数と不安得点
  • 学習時間とテスト得点
  • 睡眠時間と疲労得点

などです。

このようなときに使われるのが散布図です。

ただし、

右上がりの散布図になった=一方がもう一方の原因

とは限りません。

関係があることと、原因であることは別です。

看護研究初心者ほど、

グラフから見える傾向

と

研究から実際に言えること

を分けて考えるようにしましょう。


グラフには「人数」も意識して入れる

看護研究では、割合だけでなく元となる人数も意識します。

たとえば、

80%が理解できた

だけでは、

8人中なのか、80人中なのかわかりません。

可能であれば、

16人/20人(80%)

のように示すと、結果の規模を理解しやすくなります。

特に少人数の院内研究では重要です。

4人中3人でも75%になります。

「75%」だけを見る場合と、

「3人/4人」

を見る場合では、受ける印象が異なります。


グラフタイトルは「アンケート結果」だけにしない

グラフのタイトルが、

アンケート結果

結果①

だけになっていないでしょうか。

発表では、

グラフを見た人に何を読み取ってほしいのか

が伝わる見出しにすると理解しやすくなります。

弱いタイトル

アンケート結果

わかりやすいタイトル

学習会後に災害対応への理解度が上昇した

弱いタイトル

質問3の結果

わかりやすいタイトル

約7割がマニュアルの保管場所を把握していた

ただし、実際のデータ以上に因果関係や効果を断定するタイトルは避けましょう。


グラフを見やすくする7つの基本

グラフを作るときは、装飾を増やすよりも、余計な情報を減らす方が見やすくなることがあります。

1.色を使いすぎない

すべての項目を違う色にする必要はありません。

基本色をそろえ、強調したいところだけ変えると見やすくなります。

2.立体表示を使う目的を考える

立体的な装飾は、場合によって数値の比較をしにくくします。

研究結果では、見た目よりも値の読み取りやすさを優先します。

3.軸や単位を書く

縦軸が、

  • 人
  • %
  • 点
  • 分

のどれなのかを明確にします。

4.タイトルを書く

グラフだけを見ても、何についての結果かわかる状態を目指します。

5.文字を小さくしすぎない

院内発表では、後方からスライドを見る人もいます。

細かな数字を詰め込みすぎないようにします。

6.情報を1つのグラフへ詰め込みすぎない

研究で集めたデータを全部1枚に載せる必要はありません。

研究目的に関係する重要な結果を選びます。

7.本文と数字を一致させる

本文では「16人(80%)」、グラフでは「15人(75%)」になっていないか確認します。


Excelでグラフを作る基本手順

Excelでは、

  1. 表形式でデータを整理する
  2. グラフにしたい範囲を選択する
  3. 「挿入」を選ぶ
  4. グラフを選択する
  5. タイトルや軸を調整する

という流れで作成できます。

Microsoft公式サポートでも、データを選択して「挿入」からグラフを選択する手順が案内されています。おすすめグラフも利用できますが、作成されたものが必ずしもデータに最適とは限りません。


Googleスプレッドシートでグラフを作る基本手順

Googleフォームから回答を集めている場合は、Googleスプレッドシートでグラフを作成できます。

基本的な流れは、

  1. グラフにしたいセル範囲を選択
  2. 「挿入」
  3. 「グラフ」
  4. グラフの種類を選択
  5. タイトル・軸・凡例などを調整

です。

Google公式ヘルプでも、セルを選択して「挿入」→「グラフ」から作成し、その後グラフの種類や表示内容を変更できることが案内されています。

Googleフォームから回答をスプレッドシートへ自動保存する方法は、
Googleフォームの回答を自動集計する方法|看護研究・委員会活動で使えるGoogleスプレッドシート活用術
で詳しく解説しています。


Googleフォームの自動グラフをそのまま使ってもいい?

簡単な集計結果を確認する目的なら便利です。

ただし、研究発表に使用する前に、

  • グラフの種類は適切か
  • タイトルはわかりやすいか
  • 回答数がわかるか
  • 項目順は適切か
  • 色が多すぎないか
  • 不要な情報が含まれていないか
  • 個人を特定できる情報がないか

を確認します。

発表用のグラフは、

「集計できた」状態から「伝わる」状態へ整える

と考えましょう。


結果スライドは「1枚1メッセージ」を意識する

研究発表では、

グラフを4個
+
表を2個
+
文章を10行

と詰め込みたくなることがあります。

しかし、聞き手は短時間ですべてを確認することができません。

たとえば、

スライドタイトル

「学習会後に災害対応の理解度が上昇」

中央

前後比較のグラフ

下部

「平均60点 → 75点」

程度でも、伝えたい結果は明確になります。

詳細な数字は発表原稿や補足資料で説明できます。

発表スライド全体の構成については、
看護研究発表のスライド構成と発表原稿の作り方|伝わる発表にするポイント
も参考にしてください。


表とグラフを両方載せる必要はある?

同じ数字を、

表
+
棒グラフ

の両方で示すことがあります。

しかし、まったく同じ情報なら重複する場合があります。

正確な数値を確認してほしい → 表

差や傾向を一目で見てほしい → グラフ

と役割を分けます。

論文本文では表を使い、口頭発表ではグラフを使うなど、用途によって変更する方法もあります。


看護研究初心者によくあるグラフの失敗

円グラフが多すぎる

Googleフォームが円グラフを表示していても、すべて円グラフにする必要はありません。

比較したい場合は棒グラフも検討します。

色を使いすぎる

色が増えるほど重要な情報が目立たなくなる場合があります。

グラフタイトルがない

何についての結果なのか判断しにくくなります。

人数を書かず割合だけ表示する

対象者数がわからなくなります。

軸や単位がない

人数なのか割合なのか判断できません。

結果を強調しすぎる

小さな差を大きな変化のように見せないことが大切です。

p値だけを強調する

統計的有意差だけでなく、

  • 実際にどの程度変化したか
  • 何人中何人か
  • 実務的に意味のある変化か
  • 研究上の限界は何か

も確認します。

統計結果の読み方で迷った場合は、
看護研究で使う統計方法の選び方|初心者向け8選と早見表
へ戻って確認してください。


グラフ作成前のチェックリスト

内容

  • 研究目的に関係する結果か
  • 本当にグラフが必要か
  • 表の方が適していないか
  • 最も伝えたい結果がわかるか

グラフ

  • 適切なグラフ種類を選んだ
  • タイトルがある
  • 軸・単位がわかる
  • 人数または割合が確認できる
  • 色を使いすぎていない
  • 文字が小さすぎない

数字

  • 元データと一致している
  • 本文と一致している
  • 人数と割合が一致している
  • 前後比較の分析対象者数を確認した

発表

  • 1枚に情報を詰め込みすぎていない
  • 後方からでも読める
  • グラフを見て何を伝えたいかわかる

よくある質問

看護研究では円グラフと棒グラフのどちらを使えばいいですか?

項目やグループ間を比較したい場合は、まず棒グラフを検討するとわかりやすくなります。

全体を100%として、大きな割合の内訳を簡単に示したい場合は円グラフも選択肢です。

アンケート結果はすべてグラフにした方がいいですか?

必要ありません。

研究目的に関係する重要な結果を中心にグラフ化します。

細かな数値や対象者属性は、表の方が適している場合があります。

Googleフォームのグラフをそのまま使ってもいいですか?

内容確認には便利です。

研究発表へ使用する場合は、グラフの種類、タイトル、色、項目順、人数などを確認してから使用しましょう。

自由記載はグラフにできますか?

自由記載を単純にグラフへ変換する前に、まず回答内容を整理する必要があります。

自由記載のコード化やカテゴリー化については、
看護研究の自由記載アンケートを整理する方法|コメントの分類・カテゴリー化・結果のまとめ方
で詳しく解説しています。


まとめ|グラフは「きれいに見せる」より「結果を正しく伝える」

看護研究のグラフで最も大切なのは、

見栄えのよいグラフを作ることではありません。

研究結果を、

正確に、わかりやすく伝えること

です。

迷ったときは、

  1. 何を明らかにした研究なのか
  2. どの結果を伝えたいのか
  3. 正確な数値を読んでほしいのか
  4. 項目を比較したいのか
  5. 全体の割合を見せたいのか
  6. 時間による変化を見せたいのか

の順番で考えてみましょう。

基本は、

正確な数値 → 表

項目比較 → 棒グラフ

全体の割合 → 円グラフ

時間変化 → 折れ線グラフ

です。

ただし、同じデータでも研究目的によって適切な見せ方は変わります。

GoogleフォームやExcelが自動で作成したグラフをそのまま使うのではなく、

「このグラフを見た人に何を理解してほしいのか」

を一度考えてから選びましょう。

統計で得られた数字を正しく整理し、伝わる表やグラフに変えられると、その後の考察や発表準備も進めやすくなります。

次は、
看護研究の考察の書き方|結果から何を読み取るかをわかりやすく解説
で、得られた結果から「何が言えるのか」を整理していきましょう。


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参考文献・引用元

  • Centers for Disease Control and Prevention(CDC)「Bar Chart」
  • Centers for Disease Control and Prevention(CDC)「Pie and Donut Charts」
  • Google Docs Editors Help「グラフを追加、編集する」
  • Microsoft Support「グラフを作成する」
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