看護研究発表のスライド構成と発表原稿の作り方|伝わる発表にするポイント
- はじめに
- この記事でわかること
- 看護研究発表は「流れ」が大切
- 看護研究発表の基本構成
- スライド枚数の目安
- ① タイトルスライドの作り方
- タイトルは長すぎないようにする
- ② 背景スライドの作り方
- 背景の例
- ③ 目的スライドの作り方
- 目的は1文で書く
- ④ 方法スライドの作り方
- 方法スライドの例
- ⑤ 結果スライドの作り方
- 結果スライドの例
- 結果スライドはグラフを中心にする
- ⑥ 考察スライドの作り方
- 考察スライドの例
- ⑦ 結論スライドの作り方
- 結論は短くする
- ⑧ 今後の課題スライドの作り方
- 発表原稿は必要?
- 発表原稿の作り方
- 発表時間に合わせる
- 質疑応答への備え方
- 質問への答え方
- NGな発表スライド
- OKな発表スライド
- Canva記事との使い分け
- 関連記事
- おすすめ参考書
- 参考文献・参考資料
- まとめ
- 次回予告
はじめに
看護研究では、
研究計画を立てる
↓
アンケートやデータを集める
↓
結果を集計する
↓
考察を書く
ところまでは進められても、最後の
「発表資料にまとめる」
段階で悩むことがあります。
特に、
- スライドを何枚にすればよいのか
- どの順番で説明すればよいのか
- 結果や考察をどう見せればよいのか
- 発表原稿をどう作ればよいのか
- 質疑応答にどう備えればよいのか
は、看護研究初心者が迷いやすいポイントです。
発表資料は、見た目をきれいにすることだけが目的ではありません。
研究について、
「なぜ行ったのか」
「何がわかったのか」
「現場へどう活かせるのか」
を聞き手が理解できるように整理する必要があります。
以前の記事では、Canvaで看護研究の発表資料を作る方法|PowerPointが苦手でも見やすい資料を作成を紹介しました。
この記事ではCanvaやPowerPointの操作ではなく、
看護研究発表そのものの構成
に絞って解説します。
この記事でわかること
この記事では、看護研究初心者向けに、
- 看護研究発表の基本構成
- スライドの並べ方
- 結果と考察の見せ方
- グラフや表の使い分け
- 発表原稿の作り方
- 発表時間の調整方法
- 質疑応答への備え方
を解説します。
大切なのは、
何を、どの順番で、どう伝えるか
を整理することです。
看護研究発表は「流れ」が大切
看護研究発表で重要なのは、デザインだけではありません。
聞き手が、
「なぜこの研究をしたのか」
↓
「どのように調べたのか」
↓
「何がわかったのか」
↓
「その結果をどう考えるのか」
↓
「現場にどう活かせるのか」
と順番に理解できる構成にします。
スライドを作り始める前に、
研究全体を1本の流れとして整理する
ことがポイントです。

看護研究発表の基本構成
看護研究発表では、次の順番でスライドを作ると整理しやすくなります。
① タイトル
研究テーマ、発表者、所属などを示します。
② 背景
なぜこの研究が必要だったのかを説明します。
③ 目的
この研究で何を明らかにするのかを示します。
④ 方法
対象者、研究デザイン、調査方法、分析方法などを説明します。
⑤ 結果
アンケート結果や集計・分析結果を示します。
⑥ 考察
得られた結果にどのような意味があるのかを説明します。
⑦ 結論
研究によって明らかになったことを簡潔にまとめます。
⑧ 今後の課題
今回の研究で十分に明らかにできなかった点や、次に取り組む内容を示します。
スライド枚数の目安
スライド枚数は発表時間によって変わります。
院内発表などでは、
8〜12枚程度
を一つの目安にすると整理しやすくなります。
例えば10分発表なら、次のような構成です。
| スライド | 内容 |
|---|---|
| 1枚目 | タイトル |
| 2枚目 | 背景 |
| 3枚目 | 目的 |
| 4枚目 | 方法 |
| 5〜6枚目 | 結果 |
| 7〜8枚目 | 考察 |
| 9枚目 | 結論 |
| 10枚目 | 今後の課題・謝辞 |
ただし、施設や学会から枚数・発表時間の指定がある場合は、そのルールを優先してください。

① タイトルスライドの作り方
タイトルスライドでは、
何についての研究なのか
が一目でわかるようにします。
入れる内容
- 研究タイトル
- 所属部署
- 発表者名
- 共同研究者名
例
手術室看護師における災害対応への意識調査
〇〇病院 手術室
発表者:〇〇
タイトルは長すぎないようにする
研究タイトルは具体的であることが大切ですが、長すぎるとスライドで読みにくくなります。
NG例
手術室に勤務する看護師に対して災害時対応に関する意識と防災物品の認知度および災害訓練参加経験について調査した研究
OK例
手術室看護師における災害対応への意識調査
タイトルだけですべてを説明するのではなく、詳細は背景や目的で補足します。
② 背景スライドの作り方
背景では、
「なぜこの研究に取り組む必要があったのか」
を説明します。
背景に入れる内容
- 現場で感じている課題
- 業務上の問題
- 先行研究や文献で示されていること
- この研究を行う必要性
背景を長く説明しすぎると、本題へ入るまでに時間がかかります。
発表では、
現場の課題 → 研究の必要性
が伝われば十分です。
背景の例
手術室では、患者が麻酔下にあり、自力で避難することが難しい状況があります。
さらに、医療機器や電源設備も多く、災害時には病棟とは異なる対応が求められます。
一方で、スタッフによって災害訓練への参加経験や防災物品の認知度に差がある可能性があります。
そこで、手術室看護師の災害対応に関する現状を把握し、今後の教育につなげる必要があると考えました。

③ 目的スライドの作り方
目的では、
「この研究で何を明らかにしたいのか」
を書きます。
目的の例
本研究の目的は、手術室看護師における災害訓練参加経験、防災物品の認知度、災害対応への自信を明らかにし、今後の防災教育の課題を検討することである。
目的は1文で書く
研究目的が多すぎると、
結果
↓
考察
↓
結論
まで内容が広がってしまいます。
まず、
何を明らかにする研究なのか
を1文で説明できる状態を目指しましょう。
④ 方法スライドの作り方
方法では、
研究をどのように行ったのか
を説明します。
入れる内容
- 研究デザイン
- 対象者
- 調査期間
- 調査方法
- 調査項目
- 分析方法
- 倫理的配慮
発表では研究計画書をそのまま読み上げる必要はありません。
研究結果を理解するために必要な情報へ絞ります。
方法スライドの例
研究デザイン:質問紙調査
対象者:手術室看護師〇名
調査期間:2026年〇月
調査方法:Googleフォームによる無記名アンケート
調査項目:災害訓練参加経験、防災物品の認知度、災害対応への自信
分析方法:単純集計、クロス集計、カイ二乗検定
倫理的配慮:研究目的を説明し、回答は任意とした

⑤ 結果スライドの作り方
結果では、
調査・集計・分析によって得られた事実
を示します。
ここで重要なのは、
結果と考察を混ぜないこと
です。
結果に入れる内容
- 人数
- 割合
- 平均値
- 中央値
- p値
- グラフ
- 表
結果では、
「なぜこの結果になったのか」
まで書かず、
まず得られた事実を示します。
結果スライドの例
例えば、
新人看護師では災害訓練への参加経験ありが25%、中堅看護師では80%だったとします。
統計解析を行い両群に差が認められた場合は、
- 各群の人数・割合
- 使用した検定
- 必要に応じてp値
を整理して示します。

結果スライドはグラフを中心にする
結果を文章だけで説明すると、聞き手は数値をイメージしにくくなります。
そのため、
- 棒グラフ
- 円グラフ
- クロス集計表
- 折れ線グラフ
などを活用します。
ただし、集計した結果をすべてグラフにする必要はありません。
1枚のスライドでは、伝えたい結果を1つに絞る
方が見やすくなります。
また、
「棒グラフと円グラフのどちらを使えばよい?」
「表で示した方がいいのかわからない」
「研修前後の結果はどう見せればいい?」
と迷う場合は、
何を見せたいのか
から選ぶと整理しやすくなります。
例えば、
項目同士を比較したい
→ 棒グラフ
全体の内訳を簡単に見せたい
→ 円グラフ
正確な数値を読んでもらいたい
→ 表
と考えると選びやすくなります。
学習会の前後比較や5段階アンケートなど、看護研究でよく使う結果の見せ方については、看護研究の結果をグラフにする方法|棒グラフ・円グラフ・表の使い分けを初心者向けに解説で詳しく解説しています。
⑥ 考察スライドの作り方
考察では、
結果から何が言えるのか
を説明します。
結果の文章を言い換えるだけでは考察になりません。
考察では、
- なぜこの結果になったのか
- 先行研究と比べてどうか
- 現場ではどのような意味があるか
- 研究にはどのような限界があるか
を整理します。
考察の組み立て方に迷う場合は、看護研究の考察の書き方|結果から何を読み取るかをわかりやすく解説も参考にしてください。
考察に入れる内容
- 結果の意味
- 結果が生じた理由
- 先行研究との比較
- 現場への示唆
- 研究の限界
考察スライドの例
新人看護師では災害訓練への参加経験が少なかった。
その背景として、経験年数が短く、災害訓練へ参加する機会そのものが少なかった可能性が考えられる。
そのため、入職早期から災害対応に関する基礎学習や机上シミュレーションを取り入れることで、災害対応について学ぶ機会を確保する必要があると考える。
このように、
結果 → 理由 → 現場への示唆
という流れで整理すると、発表でも説明しやすくなります。

⑦ 結論スライドの作り方
結論では、
この研究で最終的に何がわかったのか
を簡潔にまとめます。
結論の例
本研究では、手術室看護師の災害訓練参加経験や防災物品の認知度に経験年数による違いがみられた。
今後は、新人看護師を対象とした災害対応教育や、防災物品を確認する機会を設ける必要がある。
結論は短くする
結論で新しい情報を追加する必要はありません。
聞き手に最後に覚えてほしい内容を、
2〜3文程度
にまとめると伝わりやすくなります。
⑧ 今後の課題スライドの作り方
今後の課題では、
- 今回十分に検討できなかった点
- 研究上の限界
- 次に調べたいこと
- 現場で継続して取り組むこと
を整理します。
例
本研究は1施設の手術室看護師を対象としており、対象者数にも限りがあるため、結果の一般化には注意が必要である。
今後は対象者を増やし、他部署との比較や教育介入後の変化について検討する必要がある。
発表原稿は必要?
看護研究発表に慣れていない場合は、
発表原稿を作っておく
ことをおすすめします。
ただし、原稿を一字一句そのまま読み上げると、聞き手よりも原稿へ目線が向きやすくなります。
発表原稿は、
話す内容を整理するための土台
として使います。
発表原稿の作り方
原稿は、
スライドごと
に作ると整理しやすくなります。
スライド1:タイトル
「〇〇病院手術室の〇〇です。本日は、手術室看護師における災害対応への意識調査について発表します。」
スライド2:背景
「手術室では、患者が麻酔下にあるため、災害時には迅速で安全な対応が求められます。一方で、スタッフによって災害訓練への参加経験や防災物品の認知度に差がある可能性があります。」
スライド3:目的
「本研究の目的は、手術室看護師の災害対応への意識を明らかにし、今後の防災教育の課題を検討することです。」
最初から完璧な文章を作る必要はありません。
まず、
各スライドで何を伝えるか
を1〜3文程度で書き出し、その後に話しやすい表現へ整えます。

発表時間に合わせる
発表では、
時間内に終わること
も重要です。
原稿ができたら、実際に声に出して練習します。
スライド枚数の目安
- 5分発表:5〜7枚程度
- 10分発表:8〜12枚程度
- 15分発表:12〜15枚程度
ただし、グラフや表が多い場合は説明時間が必要になります。
スライド枚数だけでなく、
実際に話す時間
で調整しましょう。
質疑応答への備え方
発表後には質疑応答があります。
看護研究では、次のような質問が考えられます。
- なぜこのテーマを選んだのか
- 対象者数は十分か
- アンケート項目をどう作ったのか
- なぜその統計方法を使ったのか
- 倫理的配慮をどのように行ったのか
- 結果を現場へどう活かすのか
- 研究の限界は何か
特に統計方法について質問される可能性がある場合は、自分が使用した方法の理由を説明できるようにしておきましょう。
統計方法の選び方を整理したい方は、看護研究で使う統計方法の選び方|初心者向け8選と早見表も確認してください。
割合の比較でカイ二乗検定を使用している場合は、カイ二乗検定とは?看護研究で割合を比較する方法をわかりやすく解説も参考になります。

質問への答え方
質問に答えるときは、
完璧な回答をしようとしすぎない
ことも大切です。
例えば、
「ご質問ありがとうございます。本研究では〇〇を目的としていたため、今回は△△に絞って調査しました。ご指摘いただいた□□については、今後の課題として検討したいと考えています。」
という形です。
基本は、
- 質問への感謝
- 今回の研究で行ったこと
- わかる範囲で回答
- 必要なら今後の課題
と整理すると答えやすくなります。
質疑応答をさらに準備したい方は、看護研究発表の質疑応答対策|よく聞かれる質問と答え方で、質問例と答え方を詳しくまとめています。
NGな発表スライド
① 文字が多すぎる
文章をそのままスライドへ貼り付けると、聞き手は、
スライドを読む
+
発表者の話を聞く
ことを同時に行わなければなりません。
文章はなるべく短く整理します。
② グラフが小さい
結果スライドでは、グラフや表が主役です。
グラフを小さくして文章を大量に載せるより、
重要なグラフを大きく見せる
方が伝わりやすくなります。
③ 色を使いすぎる
色が多いほど見やすくなるわけではありません。
基本となる色を決め、重要な部分だけ強調色を使います。
④ 結果と考察が混ざっている
結果は、
何がわかったか
考察は、
その結果をどう考えるか
です。
スライド上でも分けて整理しましょう。
OKな発表スライド
① 1スライド1メッセージ
1枚で伝える内容を1つに絞ります。
② 文字は少なく、図表を中心にする
発表者の説明を聞きながら、一目で内容がわかるスライドを目指します。
③ 結果と考察を分ける
事実と解釈を明確に分けることで、研究内容を理解しやすくなります。
④ 最後に現場への活用を示す
研究結果だけで終わらせず、
「この結果を看護実践へどうつなげるか」
を示すと、研究の意義が伝わりやすくなります。

Canva記事との使い分け
この記事では、
- 発表資料に何を入れるか
- スライドをどの順番にするか
- 発表原稿をどう作るか
- 質疑応答にどう備えるか
を中心に解説しています。
一方、Canvaで看護研究の発表資料を作る方法|PowerPointが苦手でも見やすい資料を作成では、
- レイアウト
- デザイン
- Canvaでの資料作成
を中心に扱っています。
そのため、
この記事で発表内容を整理する
↓
Canva記事で実際のスライドへ整える
という順番で読むと使いやすくなります。
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おすすめ参考書
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- 文献検索
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- 考察
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看護研究を始める看護師におすすめの本3選|テーマ決め・アンケート・発表に役立つ参考書では、
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発表スライドや資料の、
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すでにこの本を購入することを決めている方は、以下から確認できます。
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- 研究テーマ
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参考文献・参考資料
- 医学書院『看護研究 第2版』
- 医学書院『看護研究』誌
- 日本看護科学学会「看護学研究倫理指針」
- 日本看護協会「看護研究における倫理的配慮に関する資料」
- 『伝わるデザインの基本 増補改訂3版』
- 『これから論文を書く若者のために 最終完結版』
※研究方法、統計解析、倫理審査などについては、所属施設の研究指導者、倫理審査担当者、統計に詳しい専門家へ確認してください。
まとめ
看護研究発表では、
スライドの見た目だけでなく、発表の流れ
が重要です。
基本となる流れは、
背景
↓
目的
↓
方法
↓
結果
↓
考察
↓
結論
↓
今後の課題
です。
結果では、文章を並べるだけではなく、必要に応じて表やグラフを使います。
ただし、
すべての結果をグラフにする必要はありません。
項目を比較したいなら棒グラフ。
全体の内訳を簡単に見せたいなら円グラフ。
正確な数値を確認してもらいたいなら表。
というように、伝えたい内容に合わせて選びます。
考察では結果を繰り返すだけではなく、
「なぜこの結果になったのか」
「現場にどのような意味があるのか」
まで整理します。
そして発表原稿は、一字一句暗記するためではなく、
自分が何を伝えるのかを整理するため
に作ります。
CanvaやPowerPointなどのツールは、研究内容を見やすくするための手段です。
まず、
「何を、どの順番で、どう伝えるか」
を整理してからスライドへ落とし込みましょう。
発表準備が進んだら、最後に質疑応答への備えも行います。
次回予告
発表資料と原稿が完成したら、次に不安になりやすいのが、
質疑応答
です。
「統計方法について聞かれたらどうしよう」
「対象者数が少ないことを指摘されたら?」
「研究の限界をどう答えればいい?」
という方は、看護研究発表の質疑応答対策|よく聞かれる質問と答え方もあわせて確認してください。




