看護研究の5段階評価アンケートはどう集計する?|リッカート尺度のまとめ方を初心者向けに解説

看護研究
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看護研究や院内学習会のアンケートで、

  • とてもそう思う
  • そう思う
  • どちらともいえない
  • あまりそう思わない
  • そう思わない

といった5段階評価を使うことは多いのではないでしょうか。

ところが、回答が集まったあとに、

「1〜5点にして平均を出せばいい?」

「『とてもそう思う』と『そう思う』をまとめてもいい?」

「前後で点数が上がったら効果があったと言える?」

「Googleフォームの円グラフをそのまま使っていい?」

と迷いやすいのが5段階評価です。

5段階評価は簡単に作れますが、集計方法によって結果の見え方が変わるため、研究目的に合わせて整理する必要があります。

この記事では、

  • 5段階評価とは何か
  • リッカート項目とリッカート尺度の違い
  • まず人数・割合を見る理由
  • 平均値を出してよいのか
  • 中央値はどう使うのか
  • 5段階を2段階にまとめてもよいのか
  • 学習会前後をどう比較するのか
  • Googleフォーム・スプレッドシートで集計する方法
  • グラフで見せる方法
  • 初心者がやりやすい失敗

を、看護研究初心者向けに解説します。

アンケートを使った量的研究そのものから確認したい方は、
看護研究でよく使う量的研究とは?アンケート研究・観察研究を解説【量的研究編】
も参考にしてください。


結論|5段階評価は、まず「何人がどこを選んだか」を確認する

最初に結論です。

看護研究初心者が5段階評価を集計するときは、まず、

それぞれの回答を選んだ人数と割合

を確認するのがおすすめです。

たとえば、40人へ、

「今回の学習会の内容を理解できましたか?」

と質問したとします。

回答人数割合
とてもそう思う8人20%
そう思う18人45%
どちらともいえない9人22.5%
あまりそう思わない4人10%
そう思わない1人2.5%

この表を見るだけでも、

「肯定的な回答が多い一方、約3人に1人は明確な肯定回答ではない」

といった回答分布が見えてきます。

一方、

1=そう思わない
2=あまりそう思わない
3=どちらともいえない
4=そう思う
5=とてもそう思う

として平均値だけを計算すると、回答の分布が見えなくなることがあります。

典型的な5段階Likert項目は、回答カテゴリーに順序はあるものの、隣り合う選択肢の心理的な間隔が必ずしも同じとは限りません。そのため、単一項目では回答数・割合や中央値などを確認し、平均値だけで結論を出さないことが重要です。

5段階評価とは?

5段階評価とは、回答者の考えや程度を段階的に選んでもらう質問形式です。

看護研究では、

同意

  • とてもそう思う
  • そう思う
  • どちらともいえない
  • あまりそう思わない
  • そう思わない

満足度

  • とても満足
  • 満足
  • どちらともいえない
  • 不満
  • とても不満

自信

  • とても自信がある
  • 自信がある
  • どちらともいえない
  • あまり自信がない
  • 自信がない

などで使われます。

5段階評価の特徴は、

回答に順番があること

です。

「とてもそう思う」は「そう思う」より肯定的であり、「そう思わない」よりも上位の回答です。

このように順序を持つデータは、一般的に**順序尺度(ordinal data)**として扱います。


「リッカート項目」と「リッカート尺度」は同じではない

ここは初心者が混同しやすいポイントです。

リッカート項目

1つの質問について、

1〜5段階などで回答してもらうものです。

例:

災害発生時の初動対応に自信がありますか?

これが1つの5段階評価なら、単一のLikert-type itemと考えます。


リッカート尺度

一方、複数の質問項目を組み合わせて、1つの概念を測定するものがあります。

たとえば、

「急変対応への自己効力感」

という概念を、

  • 状況を判断できる
  • 必要な報告ができる
  • 他職種へ協力を依頼できる
  • 必要な物品を準備できる
  • 急変時にも落ち着いて行動できる

という複数項目で測定し、合計点や尺度得点として使用する場合です。

これは単一質問とは考え方が異なります。

複数項目を組み合わせたLikert尺度は、適切に設計・検証された尺度であれば、合計得点などを使った分析が行われることがあります。単一項目と複数項目尺度を区別することが重要です。


5段階評価を1〜5点に変換してもいい?

GoogleスプレッドシートやExcelで分析するとき、

  • そう思わない=1
  • あまりそう思わない=2
  • どちらともいえない=3
  • そう思う=4
  • とてもそう思う=5

と数字へ置き換えることがあります。

これはデータ整理のためには便利です。

たとえば、

回答コード
そう思わない1
あまりそう思わない2
どちらともいえない3
そう思う4
とてもそう思う5

と設定できます。

ただし、

数字を割り当てた=連続した数値データになった

という意味ではありません。

1→2と4→5の差が、回答者にとって同じ大きさとは限らないからです。

数値化は、

集計しやすくするためのコード

と考えておくとわかりやすいでしょう。


平均値を出してはいけないの?

ここは、5段階評価で最も意見が分かれやすい部分です。

結論として、

「5段階評価なら平均値を絶対に使ってはいけない」でも、「何でも平均値でよい」でもありません。

典型的な1問の5段階評価は順序データです。

そのため、厳密には、

  • 回答数
  • 割合
  • 最頻値
  • 中央値

などで整理する方法がわかりやすくなります。

一方で、研究分野や尺度の性質、複数項目をまとめた尺度、対象者数、分布などによっては、平均値やパラメトリックな分析が使用される場合もあります。

Likertデータの平均値利用については以前から議論があり、条件によって異なるため、「平均値を出したから正しい/間違い」と単純に決めることはできません。

初心者ならどうする?

単独の5段階質問なら、

まず人数・割合を示す

ことをおすすめします。

そのうえで、中央値などを必要に応じて追加します。

平均値を使って群比較や前後比較まで行う場合は、

  • 研究指導者
  • 統計に詳しいスタッフ
  • 統計相談部門

などへ相談すると安心です。


中央値とは?

中央値とは、データを順番に並べたとき、

真ん中に位置する値

です。

たとえば、

1
2
3
4
4
4
5

なら、真ん中の値は4です。

5段階評価では、

中央値=4(そう思う)

といった示し方ができます。

ただし、中央値だけでも回答分布はわかりません。

たとえば、

研究A

1:0人
2:0人
3:20人
4:20人
5:0人

研究B

1:10人
2:0人
3:0人
4:20人
5:10人

では、中心を示す数字だけを見ると、回答の違いを十分に説明できない場合があります。

そのため、

人数・割合+中央値

のように、分布と組み合わせて見ると理解しやすくなります。


「肯定的回答○%」にまとめてもいい?

院内研究では、

  • とてもそう思う
  • そう思う

をまとめて、

「肯定的回答」

として集計することがあります。

たとえば、

とてもそう思う:8人
そう思う:18人

なら、

26人/40人
=65%

として、

「65%が肯定的に回答した」

と示せます。

わかりやすい方法ですが、注意も必要です。


5段階を2段階へまとめると情報が減る

5段階を、

肯定
/
それ以外

の2つへまとめると、

元の回答分布がわからなくなります。

2026年のLikertデータ分析に関する研究でも、順序カテゴリーを2値化すると元の順序情報を失うことが指摘されています。

たとえば、

「とてもそう思う」

と

「そう思う」

には違いがあります。

また、

「どちらともいえない」

を否定的回答と同じグループへ入れると、意味が変わってしまう可能性もあります。

まとめる場合に確認したいこと

  • 研究目的上、本当に2つに分ける必要があるか
  • どこを境界とするのか
  • 研究開始前に決めているか
  • 先行研究と同じ基準か
  • 元の5段階分布も確認できるようにするか

特に、

結果を見たあとで都合のよい分け方へ変更する

ことは避けましょう。


5段階評価はどんなグラフにする?

5段階評価は、棒グラフにすると分布がわかりやすくなります。

例:

とてもそう思う 20%
そう思う    45%
どちらともいえない 22.5%
あまりそう思わない 10%
そう思わない 2.5%

と表示します。

複数質問を比較するなら

質問が複数ある場合は、

100%積み上げ棒グラフ

も使えます。

例:

質問とてもそう思うそう思う中立あまりそう思わない
学習会は理解できた20%45%22.5%10%2.5%
実践に活かせそう25%50%15%7.5%2.5%
また参加したい35%40%15%7.5%2.5%

複数質問の回答傾向を横に並べて比較できます。

ただし、項目を増やしすぎると読みにくくなるため、

研究目的に関係する重要な項目に絞る

ことも大切です。


学習会前後の5段階評価はどう比較する?

看護研究では、

学習会前

「急変対応に自信がありますか?」

↓

学習会実施

↓

学習会後

「急変対応に自信がありますか?」

という前後比較をすることがあります。

たとえば、

回答前後
とても自信がある5%20%
自信がある25%50%
どちらともいえない30%20%
あまり自信がない30%7.5%
自信がない10%2.5%

なら、

学習会後に肯定的な方向へ回答分布が移動している

ことが確認できます。

まずは、

前後の回答分布を比較する

だけでも重要な情報です。


「後の方が多い」だけで効果ありとは言わない

注意したいのは、

見た目で肯定的回答が増えた=統計的に効果が証明された

とは限らないことです。

さらに、

前後で変化があっても、

  • 他の研修
  • 実際の症例経験
  • 自己学習
  • 時間経過

などが影響している可能性があります。

「学習会前後の変化」と、

「学習会が原因で変化した」

は同じ意味ではありません。

統計的な比較をしたい場合は、データの種類、同じ対象者の前後比較なのか、独立した2群なのかなどで方法が変わります。

統計方法そのものについては、
看護研究で使う統計方法の選び方|初心者向け8選と早見表
で詳しく解説しています。


5段階評価で使われる主な比較方法

ここでは、考え方だけ整理します。

人数・割合を見る

初心者が最初に行いやすい方法です。

「どの回答を何人が選んだか」

を確認します。


中央値を比較する

順序尺度として、

前:中央値3
後:中央値4

などと整理する方法があります。

ただし、中央値だけでなく分布も確認します。


順位を利用した検定

順序データの比較には、

  • マン・ホイットニーU検定
  • ウィルコクソン符号付順位検定
  • クラスカル・ウォリス検定

などが使われる場合があります。

たとえば、

別の2群を比較する

場合と、

同じ人の前後を比較する

場合では方法が異なります。

さらに高度な分析では、順序ロジスティック回帰など、回答カテゴリーの順序そのものを利用した方法もあります。

初心者は検定名だけを覚えるのではなく、

「何を比較したいか」

から考えましょう。


Googleフォームなら5段階評価を簡単に作れる

Googleフォームでは、

  • ラジオボタン
  • 均等目盛
  • 選択式グリッド

などを使って5段階評価を作成できます。

回答が集まると、自動で集計結果を確認できます。

Googleフォームそのものの使い方は、
Googleフォームでアンケート集計を効率化!現役看護師におすすめの活用法
で解説しています。

ただし、

Googleフォームが自動でグラフを作ってくれる=研究上適切な分析ができている

という意味ではありません。

自動グラフは結果確認には便利ですが、研究発表では、

  • 何を伝えたいか
  • 人数か割合か
  • どの回答を比較するか

を考えて作り直すこともあります。


Googleスプレッドシートで集計する

Googleフォームの回答は、Googleスプレッドシートへ連携できます。

回答が、

「とてもそう思う」

「そう思う」

と文字で保存されている場合でも、

COUNTIF関数などを使って人数を数えることができます。

例:

とてもそう思う:8人
そう思う:18人

などです。

さらに、

人数 ÷ 有効回答者数 × 100

で割合を求められます。

回答をスプレッドシートへ自動保存する方法については、
Googleフォームの回答を自動集計する方法|看護研究・委員会活動で使えるGoogleスプレッドシート活用術
も参考にしてください。


逆転項目には注意する

複数項目を合計する尺度では、

逆転項目

が設定されていることがあります。

たとえば、

通常項目

「急変対応に自信がある」

高得点
=自信が高い

逆転項目

「急変対応を考えると不安になる」

高得点
=不安が高い

この2つを、そのまま足すと意味が逆になってしまいます。

そのため、

5→1
4→2
3→3
2→4
1→5

のように得点を反転してから計算する場合があります。

ただし、

既存の尺度を使用する場合は、その尺度の正式な採点方法を必ず確認してください。

自分の判断で項目の向きや点数を変更しないようにします。


自作アンケートを「尺度」と呼ばない

看護研究では、

「自分で5問作り、5段階評価にした」

ということもあります。

しかし、

5段階質問を複数作っただけで、正式な尺度になるわけではありません。

尺度として使用するには、

  • 何を測定しているのか
  • 信頼性
  • 妥当性
  • 項目構成
  • 得点方法

などの検討が必要です。

院内研究で独自質問を作ること自体はありますが、

「○○尺度」

と呼んだり、

複数項目を理由なく合計して、

「総合得点」

として扱ったりする場合は注意が必要です。


5段階評価と自由記載を組み合わせる方法

5段階評価だけでは、

なぜその回答を選んだのか

まではわかりません。

たとえば、

「学習会は実践に役立つと思う」

で、

「あまりそう思わない」

を選んだ人がいたとしても、

  • 内容が難しかった
  • 自部署では使わない
  • 時間が短かった
  • 実技が少なかった

のどれなのかはわかりません。

そこで、

5段階評価

「学習会は実践に役立つと思いますか?」

+

自由記載

「そう感じた理由があれば教えてください」

と組み合わせる方法があります。

自由記載の整理方法については、
看護研究の自由記載アンケートを整理する方法|コメントの分類・カテゴリー化・結果のまとめ方
で詳しく解説しています。


看護研究初心者がやりやすい失敗

1.平均値だけを見る

平均3.8点だけでは、回答分布がわかりません。

まず人数・割合を確認します。


2.5段階を勝手に2段階へまとめる

結果を見てから、

「3以上を肯定にしよう」

などと変更すると、結果の解釈が変わります。

分類方法は研究目的に合わせて事前に決めます。


3.「どちらともいえない」を否定扱いする

中立回答を、

「否定」

として扱うと意味が変わる可能性があります。

分類理由を明確にします。


4.自作質問をまとめて平均する

異なる内容の質問を単純に合計・平均すると、何を測っている得点なのかわからなくなります。


5.前後で回答者が違う

学習会前20人、学習会後20人でも、

同じ20人とは限りません。

同じ人の前後比較をしたい場合は、対応するデータとして扱える設計になっているか確認します。


6.Googleフォームのグラフだけで研究結果を判断する

自動グラフは便利ですが、

研究目的に合わせた集計・分析が必要です。


7.有意差だけで結論を出す

統計的な差があっても、

  • どの程度変化したのか
  • 実務的に意味があるのか
  • 対象者数は十分か
  • 研究デザインに限界はないか

も確認します。


よくある質問

5段階評価では平均値を出してはいけませんか?

一律に禁止されているわけではありません。

ただし、単一の5段階Likert項目は順序尺度として扱うのが基本なので、まず回答数・割合や分布を確認することをおすすめします。

複数項目をまとめた尺度や、平均値を用いた分析を行う場合は、尺度の設計や研究方法を確認してください。

「とてもそう思う」と「そう思う」をまとめてもいいですか?

研究目的によっては可能です。

ただし、5段階を2段階へまとめると情報が減ります。

どこを境界とするのかを事前に決め、可能であれば元の分布も確認できる形で残しましょう。

5段階評価は円グラフでもいいですか?

使えないわけではありませんが、5つの回答カテゴリーを比較するなら棒グラフの方が差を読み取りやすい場合があります。

複数質問を比較するなら、100%積み上げ棒グラフも選択肢です。

Googleフォームだけで統計分析できますか?

Googleフォームでは回答数・割合・簡易グラフを確認できます。

より細かな集計や統計分析を行う場合は、Googleスプレッドシート、Excel、EZR、SPSSなどを使用します。

5段階評価と自由記載は一緒に使えますか?

使えます。

「どの程度そう思うか」を5段階で確認し、「なぜそう思ったのか」を自由記載で確認すると、結果をより詳しく理解できます。


まとめ|5段階評価は「平均点」より先に回答分布を見る

5段階評価は、看護研究や院内学習会で使いやすい質問形式です。

しかし、

1〜5の数字を割り当てれば、そのまま普通の数値データになるわけではありません。

まずは、

  1. 各回答の人数を数える
  2. 割合を計算する
  3. 回答分布を見る
  4. 必要なら中央値を確認する
  5. 研究目的に応じて群・前後を比較する
  6. 複数項目尺度なら正式な採点方法を確認する
  7. 必要に応じて統計に詳しい人へ相談する

という順番で整理するとわかりやすくなります。

特に単一の5段階評価では、

「平均が何点だったか」より、「回答者がどの選択肢へどのくらい分布していたか」

を見ることが重要です。

また、

「肯定的回答○%」

のように回答をまとめる場合は、結果を見たあとで分類方法を変更せず、研究目的に合わせて事前に決めておきましょう。

5段階評価は、正しく整理すれば、

  • 看護師の意識
  • 学習会の理解度
  • 満足度
  • 自信
  • 不安
  • 業務負担感

などをわかりやすく示せます。

アンケート結果を集計できたら、次は表やグラフに整理し、

「研究結果として何が言えるのか」

を考察へつなげていきましょう。


こちらもおすすめ


参考文献・参考資料

  • Al-Jaishi AA, et al. Statistical analysis of Likert-based ordinal scales: a guide for clinical trialists. BMC Medical Research Methodology. 2026.
  • Sullivan GM, Artino AR Jr. Analyzing and Interpreting Data From Likert-Type Scales. Journal of Graduate Medical Education. 2013.
  • Boone HN Jr, Boone DA. Analyzing Likert Data.
  • Norman G. Likert scales, levels of measurement and the “laws” of statistics.
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