- はじめに
- 質疑応答は「責められる場」ではない
- 質疑応答で大切な基本姿勢
- 答え方の基本パターン
- よく聞かれる質問① なぜこのテーマを選んだのですか?
- 答え方の例
- よく聞かれる質問② 対象者数は十分ですか?
- 答え方の例
- ポイント
- よく聞かれる質問③ アンケート項目はどのように作りましたか?
- 答え方の例
- よく聞かれる質問④ 統計方法はなぜそれを選びましたか?
- 質問例
- 答え方の例:カイ二乗検定の場合
- 答え方の例:マン・ホイットニーU検定の場合
- 答え方の例:t検定の場合
- よく聞かれる質問⑤ 倫理的配慮はどのようにしましたか?
- 答え方の例
- よく聞かれる質問⑥ 結果を現場でどう活かしますか?
- 答え方の例
- よく聞かれる質問⑦ 研究の限界は何ですか?
- 答え方の例
- 答えに困った時の対応
- 答えに困った時の例文
- 別の例文
- 質疑応答で避けたい答え方
- OKな答え方
- 質疑応答対策として事前に準備すること
- 手術室防災研究での想定質問例
- 関連記事
- おすすめ参考書
- 参考文献・参考資料
- まとめ
- 次回予告
はじめに
看護研究発表で緊張しやすい場面の一つが、
質疑応答
です。
発表スライドや原稿は準備できても、
発表後にどのような質問をされるのか不安に感じる方は多いと思います。
特に看護研究初心者の場合、
- 質問に答えられなかったらどうしよう
- 統計方法について聞かれたら不安
- 倫理的配慮についてうまく説明できるか心配
- 研究の限界を指摘されたらどう答えればよいかわからない
と感じやすいです。
しかし、看護研究発表で聞かれる質問には、ある程度パターンがあります。
今回は、看護研究発表でよく聞かれる質問と答え方を、初心者向けにわかりやすく解説します。
質疑応答は「責められる場」ではない
まず大切なのは、質疑応答を
間違いを指摘される場
と考えすぎないことです。
質疑応答は、
- 研究内容をより深く理解する
- 不足している視点を補う
- 今後の課題を整理する
- 研究を現場に活かすヒントを得る
ための時間です。
すべての質問に完璧に答える必要はありません。
大切なのは、落ち着いて、誠実に答えることです。

質疑応答で大切な基本姿勢
質疑応答では、内容だけでなく答え方も大切です。
基本姿勢
- まず質問に感謝する
- 質問の意図を確認する
- わかる範囲で簡潔に答える
- 不明な点は無理に断定しない
- 今後の課題として受け止める
答え方の基本パターン
質疑応答では、次の型を使うと落ち着いて答えやすくなります。
基本パターン
ご質問ありがとうございます。
↓
本研究では〇〇を目的としていました。
↓
そのため、今回は△△に絞って調査しました。
↓
ご指摘の□□については、今後の課題として検討していきたいと考えています。

よく聞かれる質問① なぜこのテーマを選んだのですか?
看護研究発表では、研究テーマの選定理由を聞かれることがあります。
これは、研究の背景や必要性を確認する質問です。
質問例
「なぜこのテーマを選んだのですか?」
「この研究を行う必要性は何ですか?」
「現場でどのような課題があったのですか?」
答え方の例
ご質問ありがとうございます。
手術室では、患者さんが麻酔下にあり、災害時には迅速で安全な対応が必要になります。
一方で、スタッフによって災害訓練参加経験や防災物品の認知度に差があると感じていました。
そのため、まず現状を把握し、今後の防災教育につなげることを目的として、このテーマを選びました。

よく聞かれる質問② 対象者数は十分ですか?
看護研究では、対象者数について質問されることがあります。
特に院内研究では、対象者数が少なくなりやすいためです。
質問例
「対象者数は十分ですか?」
「この人数で結果を判断してよいのでしょうか?」
「他部署にも同じことが言えますか?」
答え方の例
ご質問ありがとうございます。
本研究は当院手術室のスタッフを対象とした調査であり、対象者数には限りがあります。
そのため、結果をすべての手術室看護師に一般化することは難しいと考えています。
しかし、当部署の現状を把握し、今後の教育内容を検討するための基礎資料としては意義があると考えています。
ポイント
対象者数が少ない場合は、無理に大きな結論を出さないことが大切です。
使いやすい表現
- 対象者数には限りがある
- 一般化には注意が必要である
- 当部署の現状把握として意義がある
- 今後は対象者数を増やして検討したい
よく聞かれる質問③ アンケート項目はどのように作りましたか?
アンケート研究では、質問項目の作成方法を聞かれることがあります。
これは、アンケートの妥当性や信頼性に関わる質問です。
質問例
「アンケート項目はどのように作成しましたか?」
「既存の尺度を使いましたか?」
「質問項目の妥当性は確認しましたか?」
答え方の例
ご質問ありがとうございます。
今回のアンケート項目は、当部署で課題となっていた災害訓練参加経験、防災物品の認知度、災害対応への自信を中心に作成しました。
作成後は、研究メンバーと内容を確認し、質問の意味が伝わりやすいか、回答しにくい表現がないかを確認しました。
既存尺度は使用していないため、今後は先行研究や既存尺度を参考に、質問項目の妥当性を高める必要があると考えています。

よく聞かれる質問④ 統計方法はなぜそれを選びましたか?
統計方法は、質疑応答で聞かれやすいポイントです。
特に、
- t検定
- マン・ホイットニーU検定
- カイ二乗検定
を使った場合は、選択理由を説明できるようにしておくと安心です。
質問例
「なぜカイ二乗検定を使ったのですか?」
「5段階評価に対して、なぜマン・ホイットニーU検定を使ったのですか?」
「t検定ではなく、この検定を選んだ理由は何ですか?」
答え方の例:カイ二乗検定の場合
ご質問ありがとうございます。
本研究では、新人看護師と中堅看護師の災害訓練参加経験について、
参加あり
参加なし
の割合を比較しました。
人数や割合を比較するカテゴリーデータであったため、カイ二乗検定を選択しました。
答え方の例:マン・ホイットニーU検定の場合
ご質問ありがとうございます。
本研究では、災害対応への自信を1〜5点の5段階評価で調査しました。
このデータは順序尺度として扱う必要があると考え、新人看護師群と中堅看護師群の比較にはマン・ホイットニーU検定を選択しました。
答え方の例:t検定の場合
ご質問ありがとうございます。
本研究では、防災学習会前後の知識テストの点数を比較しました。
点数データの平均値を比較することが目的であったため、t検定を選択しました。

よく聞かれる質問⑤ 倫理的配慮はどのようにしましたか?
看護研究では、倫理的配慮について聞かれることがあります。
これは非常に重要な質問です。
質問例
「対象者への説明はどのように行いましたか?」
「同意はどのように得ましたか?」
「個人が特定されないようにしましたか?」
「倫理審査は受けましたか?」
答え方の例
ご質問ありがとうございます。
本研究では、対象者に研究目的、回答は任意であること、回答しなくても不利益がないことを説明しました。
また、アンケートは無記名で実施し、個人が特定されない形で集計しました。
得られたデータは研究目的以外には使用せず、研究メンバー内で管理しました。
倫理審査の必要性については、施設のルールに沿って確認しました。

よく聞かれる質問⑥ 結果を現場でどう活かしますか?
看護研究では、結果を現場にどう活かすかが大切です。
質疑応答でも、現場への活用方法を聞かれることがあります。
質問例
「この結果をどのように現場へ活かしますか?」
「今後、具体的にどのような取り組みをしますか?」
「研究後に実践へつなげる予定はありますか?」
答え方の例
ご質問ありがとうございます。
本研究では、新人看護師で災害訓練参加経験や防災物品の認知度が低い傾向がみられました。
そのため、今後は新人オリエンテーションの中に防災物品の確認を組み込み、さらに机上シミュレーションを行うことで、災害時対応のイメージを持てるようにしていきたいと考えています。

よく聞かれる質問⑦ 研究の限界は何ですか?
研究の限界は、自分から発表内で触れておくとよい項目です。
質疑応答でも聞かれる可能性があります。
質問例
「この研究の限界は何ですか?」
「今回の結果で言い切れないことはありますか?」
「今後の課題は何ですか?」
答え方の例
ご質問ありがとうございます。
本研究は、1施設の手術室看護師を対象としており、対象者数も限られています。
そのため、結果をすべての手術室看護師に一般化することには注意が必要です。
今後は、対象者数を増やすことや、他部署との比較、教育介入後の変化を評価することが課題です。

答えに困った時の対応
質疑応答では、答えに困る質問を受けることもあります。
その場合、無理に答えようとしすぎないことが大切です。
答えに困った時の例文
ご質問ありがとうございます。
現時点では十分に検討できていない部分です。
ご指摘いただいた点は重要だと考えますので、今後の課題として検討していきたいと思います。
別の例文
ご質問ありがとうございます。
今回の研究では〇〇を目的としていたため、□□については調査対象に含めていませんでした。
今後は□□についても検討していく必要があると考えています。

質疑応答で避けたい答え方
NG① 「わかりません」だけで終わる
わからない場合でも、今後の課題として受け止めると印象が変わります。
NG② 言い訳が多くなる
「忙しかったので」「時間がなかったので」などの説明は、研究の質を下げて見せてしまう可能性があります。
NG③ 断定しすぎる
研究結果から言える範囲を超えて断定しないようにしましょう。
NG④ 質問者と議論しすぎる
質問に反論するのではなく、研究を深める意見として受け止めることが大切です。
OKな答え方
OK① 感謝から始める
ご質問ありがとうございます。
OK② 今回の研究範囲を説明する
本研究では〇〇を目的としていたため、今回は△△に絞りました。
OK③ 限界を認める
対象者数には限りがあり、一般化には注意が必要です。
OK④ 今後の課題につなげる
今後は□□についても検討していきたいと考えています。

質疑応答対策として事前に準備すること
発表前に、想定質問を準備しておくと安心です。
準備すること
- なぜこのテーマにしたのか
- 対象者数は十分か
- アンケート項目は妥当か
- 統計方法は適切か
- 倫理的配慮はどうしたか
- 結果をどう現場に活かすか
- 研究の限界は何か

手術室防災研究での想定質問例
質問1
なぜ手術室の防災をテーマにしたのですか?
回答例
手術室では患者さんが麻酔下にあり、自力避難が困難な状況が多くあります。
そのため、スタッフが災害時対応を理解しておくことが重要だと考え、このテーマを選びました。
質問2
防災物品の認知度が低かった理由は何だと考えますか?
回答例
日常業務では手術準備や器械出し、外回り業務が優先され、防災物品を確認する機会が少ないことが影響している可能性があります。
今後は、オリエンテーションや定期点検の中に防災物品確認を組み込む必要があると考えています。
質問3
この研究結果を今後どう活かしますか?
回答例
今後は、新人看護師向けの防災オリエンテーションを行い、防災物品の場所確認や災害時アクションカードの確認を実施していきたいと考えています。
また、机上シミュレーションを取り入れ、災害時対応を具体的にイメージできるようにしたいです。
関連記事
- 看護研究発表のスライド構成と発表原稿の作り方
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- カイ二乗検定とは?
- t検定とマン・ホイットニーU検定の違い
- 看護研究で統計ソフトは必要?
- Canvaで看護研究の発表資料を作る方法
おすすめ参考書
看護研究の進め方がよくわかる本
研究計画から発表までの流れを学びたい方におすすめです。

ナースのための看護研究
看護研究初心者が研究発表まで学びやすい一冊です。
看護現場の研究法 悩めるナースのための研究ガイド [ 粟生田友子 ]

伝わるデザインの基本
発表スライドや資料の見せ方を学びたい方におすすめです。
伝わるデザインの基本 増補改訂3版 よい資料を作るためのレイアウトのルール [ 高橋 佑磨 ]

参考文献・参考資料
- 医学書院『看護研究 第2版』
- 医学書院『看護研究』誌
- 日本看護科学学会「看護学研究倫理指針」
- 日本看護協会「看護研究における倫理的配慮に関する資料」
- 伝わるデザインの基本 増補改訂3版 よい資料を作るためのレイアウトのルール [ 高橋 佑磨 ]
- これから論文を書く若者のために 最終完結版 [ 酒井 聡樹 ]
まとめ
看護研究発表の質疑応答は、怖がりすぎる必要はありません。
よく聞かれる質問は、
- テーマ選定
- 対象者数
- アンケート項目
- 統計方法
- 倫理的配慮
- 現場への活用
- 研究の限界
に集中しやすいです。
事前に想定質問と答え方を準備しておくことで、本番でも落ち着いて対応できます。
大切なのは、完璧に答えることではなく、
誠実に答え、今後の課題につなげること
です。
次回予告
次回は、
「看護研究を院内改善につなげる方法|発表で終わらせない実践への活かし方」
を解説します。
研究発表で終わらせず、現場の改善や教育につなげる視点を紹介します。

