カイ二乗検定とは?看護研究で割合を比較する方法をわかりやすく解説
はじめに
看護研究でアンケートを行うと、
「知っている・知らない」
「参加した・参加していない」
「経験がある・経験がない」
のような回答を扱うことがよくあります。
このようなデータを比較する時に使われる統計方法が、
カイ二乗検定です。
前回の記事では、
- 点数を比較するならt検定
- 5段階評価を比較するならマン・ホイットニーU検定
を解説しました。
今回は、看護研究でとてもよく使う
割合や人数を比較する統計方法
として、カイ二乗検定をわかりやすく解説します。
カイ二乗検定とは?
カイ二乗検定は、
2つ以上のカテゴリーデータに関連があるかを調べる方法
です。
もう少し簡単に言うと、
「グループによって、割合に違いがあるか」
を確認する統計方法です。
例えば、
新人看護師と中堅看護師で、
災害訓練に参加した割合が違うかを調べたい場合に使います。

カイ二乗検定で扱うデータ
カイ二乗検定では、
数値の平均ではなく、
人数や割合
を扱います。
例
- 参加あり・なし
- 知っている・知らない
- 経験あり・なし
- 実施できた・できなかった
- はい・いいえ
このようなデータを
カテゴリーデータ
と呼びます。
t検定・マン・ホイットニーU検定との違い
統計方法を選ぶ時は、
「何を比較したいのか」
を考えることが大切です。
t検定
点数や数値の平均値を比較する
例
- テスト点数
- 年齢
- 経験年数
マン・ホイットニーU検定
5段階評価や順位データを比較する
例
- 満足度
- 自信の程度
- 不安の程度
カイ二乗検定
人数や割合を比較する
例
- 参加あり・なし
- 知っている・知らない
- 経験あり・なし

カイ二乗検定の具体例
例:災害訓練参加経験の比較
研究テーマ
手術室看護師の経験年数による災害訓練参加経験の違い
対象
- 新人看護師
- 中堅看護師
調査項目
これまでに災害訓練へ参加したことがありますか?
回答
- あり
- なし
表にするとわかりやすい
| 参加あり | 参加なし | 合計 | |
|---|---|---|---|
| 新人看護師 | 5人 | 15人 | 20人 |
| 中堅看護師 | 16人 | 4人 | 20人 |
| 合計 | 21人 | 19人 | 40人 |
この表を見ると、
新人看護師よりも中堅看護師の方が、
災害訓練に参加した割合が高そうに見えます。
しかし、
見た目だけでは、
本当に差があると言えるかはわかりません。
そこで使うのが、
カイ二乗検定です。

カイ二乗検定でわかること
カイ二乗検定では、
「2つの項目に関連があるか」
を確認します。
先ほどの例であれば、
経験年数
×
災害訓練参加経験
の関連を調べます。
つまり、
「経験年数によって、災害訓練参加経験の割合に違いがあるか」
を確認するイメージです。
看護研究でよくある使用例
カイ二乗検定は、看護研究のアンケート分析でよく使われます。
例1:経験年数とマニュアル認知度
経験年数
×
災害マニュアルを知っている・知らない
例2:部署と研修参加経験
部署
×
研修参加あり・なし
例3:職種と防災物品の場所の認知
職種
×
知っている・知らない
例4:訓練経験と災害対応への準備状況
訓練経験あり・なし
×
準備できている・できていない

クロス集計との関係
カイ二乗検定を行う前には、
まずクロス集計を行います。
クロス集計とは、
2つの項目を組み合わせて表にする方法です。
例えば、
経験年数
×
災害訓練参加経験
のように表にします。
カイ二乗検定は、
このクロス集計表をもとに行う検定です。

p値とは?
カイ二乗検定を行うと、
p値という値が出ます。
p値は、
「偶然でこのような差が出る可能性」
を考える時に使われます。
一般的には、
p<0.05
であれば、
統計学的に有意差がある
と判断されることがあります。
ただし、p値だけで研究結果を判断してはいけません。
現場で意味のある差なのか、
対象者数は十分なのか、
研究目的に合っているのかも考える必要があります。
看護研究初心者が注意したいこと
① 人数が少なすぎる場合は注意
カイ二乗検定は便利ですが、
人数が少ない場合には適さないことがあります。
特に、表の中の人数が少なすぎる場合は、
フィッシャーの正確確率検定
が検討されることがあります。
看護研究では対象者数が少ないことも多いため、
ここは注意が必要です。
② 割合だけで判断しない
例えば、
A群 80%
B群 60%
と見ると差があるように見えます。
しかし、対象者数が少ない場合、
統計的には差があると言えないこともあります。
人数と割合の両方を確認しましょう。
③ 検定方法は研究計画書の段階で決める
データを集めた後に、
「どの検定を使えばいいかわからない」
となることはよくあります。
そのため、研究計画書を作る段階で、
- どの項目を比較するのか
- どの統計方法を使うのか
- どのように表にするのか
を考えておくことが大切です。
手術室看護師の私ならこう使う
私が手術室の防災研究でカイ二乗検定を使うなら、
次のようなテーマを考えます。
テーマ例1
経験年数によって、
災害マニュアルの認知度に差があるか
テーマ例2
災害訓練参加経験の有無によって、
防災物品の場所を知っている割合に差があるか
テーマ例3
新人看護師と中堅看護師で、
災害訓練参加経験の割合に差があるか
図解挿入推奨

Googleスプレッドシートでできること
Googleスプレッドシートでは、
カイ二乗検定そのものを本格的に扱うには少し工夫が必要です。
しかし、
- 人数を数える
- 割合を出す
- クロス集計表を作る
- 棒グラフや円グラフを作る
ことは可能です。
まずはGoogleスプレッドシートで表を作り、
必要に応じてExcel、EZR、SPSS、JMPなどの統計ソフトを検討するとよいでしょう。
関連記事
カイ二乗検定の結果の書き方
看護研究の発表では、
結果を次のように書くことがあります。
例
新人看護師群と中堅看護師群で災害訓練参加経験の有無を比較したところ、中堅看護師群で参加経験ありの割合が高かった。
カイ二乗検定の結果、両群間に有意差を認めた。
実際の発表や論文では、
- 人数
- 割合
- p値
- 使用した検定方法
を示すとわかりやすくなります。

まとめ
カイ二乗検定は、
看護研究で割合や人数を比較する時によく使う統計方法です。
特に、
- 参加あり・なし
- 知っている・知らない
- 経験あり・なし
- 実施できた・できなかった
のようなデータに向いています。
まずは、
カイ二乗検定
=
カテゴリーデータの割合を比較する方法
と理解しておきましょう。
おすすめ参考書
マンガでわかる統計学
統計が苦手な方におすすめです。
マンガでわかる統計学 ストーリーだから最後まで読める ストーリーだから最後まで読める! [ 大上丈彦 ]

ナースのための統計学
看護研究で使う統計方法を学びたい方におすすめです。

看護研究の進め方がよくわかる本
研究計画から発表までの流れを学びたい方におすすめです。

参考文献・参考資料
- 医学書院『看護研究 第2版』
- 医学書院『看護研究』誌
- 日本看護科学学会「看護学研究倫理指針」
- 日本看護協会「看護研究における倫理的配慮に関する資料」
- 東京大学出版会『医学統計学の事典』
- マンガでわかる統計学 ストーリーだから最後まで読める ストーリーだから最後まで読める! [ 大上丈彦 ]
次回予告
次回は、
「看護研究で統計ソフトは必要?Excel・Googleスプレッドシート・EZR・SPSSの違い」
を解説します。
統計方法を理解した後は、
実際にどのツールを使って分析するかを考えていきましょう。
→【次の記事への内部リンク】

