t検定とマン・ホイットニーU検定の違い|看護研究ではどちらを使う?
はじめに
看護研究でアンケートやテスト結果を分析する時、
よく出てくるのが
「t検定」
と
「マン・ホイットニーU検定」
です。
どちらも2つのグループを比較する時に使われますが、
- 何が違うのか
- どちらを選べばいいのか
- 5段階評価ではどちらを使うのか
で悩む方は多いと思います。
私自身も初めて看護研究で統計を扱った時、
「平均値を比較するならt検定でいいの?」
「アンケートの5段階評価はt検定でいいの?」
と迷いました。
今回は、看護研究初心者向けに、t検定とマン・ホイットニーU検定の違いをわかりやすく解説します。
まず結論
ざっくり整理すると、次のようになります。
t検定
平均値を比較したい時に使う
例
- テスト点数
- 年齢
- 経験年数
- 研修前後の点数
マン・ホイットニーU検定
順位や5段階評価などを比較したい時に使われることが多い
例
- 満足度
- 自信の程度
- 不安の程度
- 5段階評価のアンケート

t検定とは?
t検定は、2つのグループの平均値に差があるかを確認する統計方法です。
例えば、防災学習会の前後で知識テストを行った場合、
学習会前の平均点
↓
60点
学習会後の平均点
↓
80点
この差が偶然なのか、意味のある差なのかを確認する時に使います。
t検定が使われる場面
看護研究では、次のような場面で使われます。
- 研修前後のテスト点数を比較する
- 教育介入前後の知識得点を比較する
- 2つのグループの平均年齢を比較する
- 新人群と中堅群の平均点を比較する
t検定の具体例
例:防災学習会の効果
研究テーマ
手術室看護師に対する防災学習会の効果
調査方法
学習会前後で知識テストを実施
データ
- 学習会前の平均点:60点
- 学習会後の平均点:80点
この場合、
「学習会前後で平均点に差があるか」
を確認したいため、t検定が候補になります。

t検定を使う時の注意点
t検定は便利ですが、どんなデータにも使えるわけではありません。
特に注意したいのは、
- 平均値を比較してよいデータか
- データの分布に大きな偏りがないか
- 2群が独立しているのか、対応しているのか
という点です。
例えば、
同じ人に学習会前後でテストを行う場合は、
「対応のあるt検定」
を検討します。
一方で、
新人看護師群と中堅看護師群のように別々の人を比較する場合は、
「対応のないt検定」
を検討します。
マン・ホイットニーU検定とは?
マン・ホイットニーU検定は、2つの独立したグループを比較する統計方法です。
t検定と似ていますが、平均値そのものではなく、データの順位をもとに比較する方法です。
そのため、
- 正規分布が前提にしにくいデータ
- 5段階評価
- 順位データ
- サンプル数が少ない場合
などで使われることがあります。
マン・ホイットニーU検定が使われる場面
看護研究では、次のようなアンケート結果で使われることがあります。
- 災害対応への自信
- 研修満足度
- 業務負担感
- 不安の程度
- 看護実践への自己評価
特に、
「とてもそう思う」
「そう思う」
「どちらともいえない」
「あまりそう思わない」
「全くそう思わない」
のような5段階評価では、マン・ホイットニーU検定を検討することがあります。
マン・ホイットニーU検定の具体例
例:災害対応への自信
研究テーマ
手術室看護師の経験年数による災害対応への自信の違い
対象
- 新人看護師群
- 中堅看護師群
調査項目
災害発生時の対応に自信がありますか?
回答
1点:全くそう思わない
2点:あまりそう思わない
3点:どちらともいえない
4点:そう思う
5点:とてもそう思う
この場合、
5段階評価の点数を新人群と中堅群で比較したいため、
マン・ホイットニーU検定が候補になります。

t検定とマン・ホイットニーU検定の違い
大きな違いは、
「平均値を比較するのか」
「順位をもとに比較するのか」
です。
t検定
- 平均値を比較する
- 数値データに使われる
- テスト点数などに使いやすい
- 正規分布を前提にすることが多い
マン・ホイットニーU検定
- 順位をもとに比較する
- 5段階評価などに使われることがある
- 正規分布を前提にしにくいデータで使いやすい
- ノンパラメトリック検定の一つ
図解挿入推奨

看護研究で迷いやすい例
例1:研修前後の知識テスト
データ
- 研修前テスト点数
- 研修後テスト点数
比較したいこと
平均点が変化したか
候補
t検定
例2:新人と中堅の災害対応への自信
データ
5段階評価
比較したいこと
新人群と中堅群で自信の程度に違いがあるか
候補
マン・ホイットニーU検定
例3:新人と中堅の研修満足度
データ
5段階評価
比較したいこと
新人群と中堅群で満足度に違いがあるか
候補
マン・ホイットニーU検定
例4:新人と中堅の平均年齢
データ
年齢
比較したいこと
平均年齢に違いがあるか
候補
t検定
手術室看護師の私ならこう使う
私が手術室の防災研究で使うなら、次のように考えます。
防災学習会前後の知識テスト
学習会前
↓
点数
学習会後
↓
点数
平均点を比較
↓
t検定
災害対応への自信
新人看護師
↓
5段階評価
中堅看護師
↓
5段階評価
順位を比較
↓
マン・ホイットニーU検定
災害訓練参加経験の有無
新人看護師
↓
参加あり・なし
中堅看護師
↓
参加あり・なし
割合を比較
↓
カイ二乗検定
ここでカイ二乗検定との違いも確認
t検定やマン・ホイットニーU検定は、
点数や評価尺度を比較する時に使われます。
一方で、カイ二乗検定は、
- あり・なし
- 知っている・知らない
- 参加した・参加していない
のようなカテゴリーデータの割合を比較する時に使います。

初心者向けの選び方
迷った時は、まず次のように考えるとよいです。
① 比較したいのは何か?
点数?
5段階評価?
割合?
② 比較するグループはいくつか?
2群?
3群以上?
③ 同じ人の前後比較か?
同じ人?
別々の人?
④ 統計に詳しい人へ確認する
最終的には、
研究指導者
統計に詳しい人
倫理審査担当者
に確認することが大切です。
よくある注意点
5段階評価を安易に平均値だけで判断しない
5段階評価は便利ですが、平均値だけで判断すると解釈が難しいことがあります。
中央値や分布も確認しましょう。
検定だけに頼らない
p値が出ても、それだけで研究の価値が決まるわけではありません。
結果が現場でどのような意味を持つのかを考えることが重要です。
統計方法は研究計画書の段階で考える
データを集めてから統計方法を考えると、
「このデータでは分析できない」
となることがあります。
研究計画書の段階で、分析方法まで考えておきましょう。
おすすめ参考書
マンガでわかる統計学
統計に苦手意識がある方におすすめです。
マンガでわかる統計学 ストーリーだから最後まで読める ストーリーだから最後まで読める! [ 大上丈彦 ]

ナースのための統計学
看護研究で使う統計方法を学びたい方におすすめです。

看護研究の進め方がよくわかる本
研究全体の流れと計画書作成を学びたい方におすすめです。

参考文献・参考資料
- 医学書院『看護研究 第2版』
- 医学書院『看護研究』誌
- 日本看護科学学会「看護学研究倫理指針」
- 日本看護協会「看護研究における倫理的配慮に関する資料」
- MedCalc “Mann-Whitney test”
- XLSTAT “Non-parametric tests on two independent samples”
まとめ
t検定とマン・ホイットニーU検定は、どちらも2つのグループを比較する統計方法です。
ただし、
t検定
↓
平均値を比較する
マン・ホイットニーU検定
↓
順位をもとに比較する
という違いがあります。
看護研究では、5段階評価や満足度調査を扱うことが多いため、マン・ホイットニーU検定を理解しておくと役立ちます。
次回予告
次回は、
「カイ二乗検定とは?看護研究で割合を比較する方法をわかりやすく解説」
を紹介します。
アンケート研究でよく出てくる
- 参加あり・なし
- 知っている・知らない
- 経験あり・なし
を比較する時に役立つ統計方法です。
→【次の記事への内部リンク】

