看護研究でアンケートやデータを集めたあと、
「平均値までは出せたけれど、その次がわからない」
「p値や有意差の意味を説明できない」
「t検定とカイ二乗検定の違いがわからない」
「EZRを使うように言われたけれど、操作方法がわからない」
と悩んでいませんか?
看護研究では、難しい計算式を覚えることよりも、まず次の4点を整理することが大切です。
- 何を明らかにしたいのか
- どのようなデータを集めたのか
- 同じ人の前後比較か、別の人同士の比較か
- 結果をどのように解釈するのか
統計が苦手な状態では、「自分が何につまずいているのか」も見えにくくなります。
まずは、看護研究でよくある統計の悩みを整理してみましょう。

当ブログの「看護研究で使う統計方法の選び方」では、平均値、中央値、標準偏差、t検定、マン・ホイットニーU検定、カイ二乗検定などを、データの種類から選ぶ方法を解説しています。
ただし、記事だけでは理解しにくいときや、実際に統計ソフトを操作するときは、手元に参考書があると確認しやすくなります。
この記事では、統計が苦手な看護師に向けて、目的別におすすめの本を5冊紹介します。
この記事でわかること
- 看護研究の統計本を選ぶポイント
- 統計の考え方をやさしく学べる本
- 看護研究の具体例から学べる本
- EZRの操作を確認できる本
- 5冊のうち自分が選ぶべき1冊
- 本を読んだあとに行うこと
先に結論|統計本は研究段階に合わせて1冊選べばよい
統計の本を最初から何冊も購入する必要はありません。
現在の悩みに合わせて、まず1冊選びましょう。
| 現在の悩み | 最初に検討する本 |
|---|---|
| p値や検定の意味から知りたい | いちばんやさしい、医療統計 改訂版 |
| 会話形式で楽しく理解したい | 「医療統計」わかりません!! |
| 看護研究の具体例で学びたい | 量的な看護研究のきほん |
| 数式を避けてEZRを使いたい | 数式不要! はめ込み統計学 |
| EZRを本格的に使いたい | EZRでやさしく学ぶ統計学 改訂4版 |
完全な初心者は、いきなり統計ソフトの操作本から入るより、先に「p値とは何か」「何を比較するのか」を理解する本から始めるのがおすすめです。
看護研究の統計本を選ぶ4つのポイント
1.数式の多さではなく、具体例のわかりやすさを見る
看護研究で必要なのは、複雑な計算式を暗記することではありません。
たとえば、
- 研修前後の知識得点を比較する
- 新人群と中堅群の不安度を比較する
- 経験年数によって研修参加率が違うか確認する
といった研究目的に対して、どのようなデータを使い、結果をどう解釈するかを理解することが重要です。
最初の1冊は、数式の詳しさよりも、医療・看護の具体例や図解の多さを優先しましょう。
2.「考え方」と「ソフト操作」を分けて考える
統計には、大きく分けて2つの学びがあります。
1つ目は、p値、平均値、標準偏差、検定などの考え方です。
2つ目は、ExcelやEZRなどを使って実際に分析する操作方法です。
統計ソフトは計算をしてくれますが、研究目的に合う検定を自動的に判断してくれるわけではありません。
考え方が不安な人は入門書から、考え方を理解していて操作に困っている人はEZRの解説書から選びましょう。
3.自分が使う統計方法が掲載されているか確認する
院内の看護研究でよく検討される方法には、次のようなものがあります。
- 人数・割合
- 平均値・中央値・標準偏差
- クロス集計
- t検定
- マン・ホイットニーU検定
- ウィルコクソンの符号付順位検定
- カイ二乗検定
- フィッシャーの正確確率検定
- 相関分析
購入前に目次を確認し、自分が使用する予定の方法が掲載されているか確認しましょう。
4.古い本は基本理論用、操作本は新しい版を選ぶ
平均値やp値などの基本的な考え方は、刊行年が古い本でも学べます。
一方、EZRなどのソフトは機能や画面が更新されるため、操作目的で購入する場合は新しい版を優先したほうが使いやすくなります。
ここまでの選び方を、自分の悩み別に整理すると次のようになります。

統計が苦手な看護師におすすめの本5選
1.いちばんやさしい、医療統計 改訂版
こんな看護師におすすめ
- 統計を基礎から学びたい
- p値の意味がわからない
- t検定やカイ二乗検定を理解したい
- 数式より図解で学びたい
- 最新の入門書を選びたい
『いちばんやさしい、医療統計 改訂版』は、統計をイメージで理解したい医療スタッフ向けの入門書です。
平均値・中央値・標準偏差、p値、信頼区間、t検定、ウィルコクソン順位和検定、カイ二乗検定、フィッシャーの直接確率検定、回帰分析、相関などを扱っています。
看護師目線でのおすすめポイント
この本の強みは、統計を「計算方法」だけでなく、「結果が何を意味しているのか」から学べる点です。
看護研究では、ソフトからp値が出ても、
「この数字をどのように考察へ書けばよいのか」
「有意差があれば効果があったと言ってよいのか」
と迷うことがあります。
この本では、統計的に有意な差と、臨床的に意味のある差を分けて考える内容も扱われています。
向いていない人
EZRの具体的な画面操作を確認したい人には、このあと紹介する操作本のほうが向いています。
2.「医療統計」わかりません!!
こんな看護師におすすめ
- 統計の教科書を読むと眠くなる
- 数式を見ると苦手意識が出る
- 会話形式で理解したい
- p値や検定を感覚的につかみたい
『「医療統計」わかりません!!』は、統計が苦手な学習者と先生の会話を通して、医療統計の考え方を学べる本です。
臨床研究のデザイン、偏差、仮説検定、t検定、カイ二乗検定、区間推定、オッズ比、リスク比、相関、回帰、感度・特異度などを扱っています。
看護師目線でのおすすめポイント
統計本を読んでいると、
「なぜこの検定を使うの?」
「p値が小さいと、なぜ差があると考えるの?」
という疑問が残ることがあります。
この本は、初心者が感じやすい疑問を会話形式で進めるため、堅い教科書が苦手な人にも入りやすい構成です。
向いていない人
看護研究に特化した事例や、最新のEZR画面を確認したい人には向いていません。
統計への苦手意識を減らすための最初の1冊として使うのがおすすめです。

3.量的な看護研究のきほん
こんな看護師におすすめ
- アンケート調査を行う予定がある
- 看護研究の具体例で統計を学びたい
- 記述統計から簡単な検定まで確認したい
- 限られた時間・人数で研究を進めたい
『量的な看護研究のきほん』は、看護研究初心者向けに、量的研究と統計解析を解説した本です。
アンケート集計から簡単な検定まで、初心者が行うことの多い統計解析を具体例で解説しています。
また、時間や予算など、現場で研究を進める際の制約についても扱っています。
看護師目線でのおすすめポイント
院内研究では、大学や研究機関と同じ規模の対象者数や予算を確保できるとは限りません。
勤務をしながら、研究計画、アンケート、データ入力、分析、発表を進める必要があります。
この本は、理想的な研究だけでなく、現実との兼ね合いを扱っているため、臨床看護師が研究を進める場面と相性があります。
向いていない人
刊行から時間が経っているため、最新の統計ソフト操作を学ぶ目的には向いていません。
看護研究の考え方と、量的データの整理方法を確認する本として使いましょう。

4.数式不要! はめ込み統計学
こんな看護師におすすめ
- EZRを使って分析したい
- 数式をできるだけ避けたい
- 実際の画面を見ながら操作したい
- 医療・保健分野の事例で学びたい
- 練習用データを使って試したい
『数式不要! はめ込み統計学』は、無料統計ソフトEZRを使った保健医療統計の実践書です。
p値や変数などの基礎から始まり、データの種類と目的に応じた分析方法を、EZRの画面例とともに解説しています。
練習用のExcelファイルも用意されています。
看護師目線でのおすすめポイント
本を読みながら、同じ手順をパソコンで再現できる点が強みです。
たとえば、
- ExcelデータをEZRへ読み込む
- 変数を指定する
- 検定を実行する
- 出力結果を確認する
という流れを、実際の画面に沿って進められます。
注意点
「どの検定を使うか」がまったくわからない段階では、操作だけをまねしてしまう可能性があります。
先に当ブログの統計方法早見表や、入門書で基本を確認してから使いましょう。

5.EZRでやさしく学ぶ統計学 改訂4版
こんな看護師におすすめ
- EZRを継続的に使いたい
- 基本的な検定以外も確認したい
- 論文作成や本格的な臨床研究を考えている
- EZRの新しい版に対応した本がほしい
- 初級本を読んだあとの2冊目を探している
『EZRでやさしく学ぶ統計学 改訂4版』は、EZR開発者による公式マニュアルです。
統計の基礎、p値、エフェクトサイズ、回帰分析、多変量解析、バイアスなどに加え、EZRの機能を使った解析方法が掲載されています。
看護師目線でのおすすめポイント
EZRは、Rを基盤とした無料の統計解析ソフトで、マウス操作でさまざまな解析を実行できます。
簡単な院内研究だけでなく、
- 回帰分析
- 多変量解析
- 生存時間解析
- 研究結果の解釈
- 論文作成
まで進みたい人には、長く使える本です。
向いていない人
本格的な書籍なので、統計を初めて学ぶ人が最初からすべて読むには負担があります。
最初の1冊ではなく、実際にEZRを使用するときの辞書・操作マニュアルとして検討しましょう。

おすすめ5冊の比較表
5冊には、それぞれ異なる役割があります。
自分の理解度と、実際に行いたい分析に合わせて比較しましょう。

目的別|最初の1冊はどれを選ぶ?
p値や有意差がわからない
『いちばんやさしい、医療統計 改訂版』がおすすめです。
図解を通して、統計結果をどのように解釈するか学びやすい本です。
統計の本を読むこと自体が苦痛
『「医療統計」わかりません!!』がおすすめです。
会話形式で疑問を解消しながら進められます。
院内のアンケート研究を行う
『量的な看護研究のきほん』がおすすめです。
看護研究の具体例とともに、アンケート集計や簡単な検定を確認できます。
EZRを初めて操作する
『数式不要! はめ込み統計学』がおすすめです。
画面例と練習データを使って、操作を進められます。
学会発表や論文作成まで考えている
『EZRでやさしく学ぶ統計学 改訂4版』がおすすめです。
最初の入門書を終えたあとの、実践・発展用として使えます。
本を購入する前に確認したいこと
統計本を選ぶ前に、最低限確認しておきたいのが次の4項目です。

1.自分の研究目的を1文で書く
例として、次のように整理します。
「学習会の前後で、同じ看護師の知識得点が変化したかを明らかにする」
この場合は、同じ対象者の前後データを比較します。
一方、
「新人看護師と中堅看護師で、知識得点に違いがあるかを明らかにする」
という目的なら、別の対象者で構成された2群を比較します。
同じ得点データでも、対象者の関係によって検討する方法が変わります。
2.どの統計ソフトを使うか確認する
院内で指定されているソフトがある場合は、そのソフトに対応した本を選びます。
基本的な人数・割合・平均値・グラフ作成であれば、ExcelやGoogleスプレッドシートでも対応できる場合があります。
一方、検定を実行する場合は、EZRやSPSSなどを検討します。
【看護研究で統計ソフトは必要?Excel・Googleスプレッドシート・EZR・SPSSを比較】
3.指導者へ分析方法を確認する
本を読んだだけで、最終的な統計方法を自己判断する必要はありません。
研究目的、データの種類、対象者数、欠損値、研究デザインによって、適切な分析方法は変わります。
アンケートを配布する前、研究計画書を提出する前に、研究指導者や統計に詳しい人へ確認しましょう。
本を読んだあとの行動
本を購入したら、最初から最後まで読む必要はありません。
次の順番で、今必要な部分だけ使いましょう。

まとめ|統計本は「理解用」と「操作用」を分けて選ぼう
看護研究の統計が苦手な場合は、最初から難しい本を選ぶ必要はありません。
まずは、
- p値や検定を理解する本
- 看護研究の具体例で学ぶ本
- EZRの操作を確認する本
のどれが必要なのかを整理しましょう。
今回紹介した5冊の役割は、次のとおりです。
- 基本を図解で学ぶ
→『いちばんやさしい、医療統計 改訂版』 - 会話形式で苦手意識を減らす
→『「医療統計」わかりません!!』 - 看護研究の具体例で学ぶ
→『量的な看護研究のきほん』 - EZRを初めて操作する
→『数式不要! はめ込み統計学』 - EZRを本格的に使う
→『EZRでやさしく学ぶ統計学 改訂4版』
迷った場合は、まず読みやすい入門書を1冊選び、実際に分析するときに操作本を追加する方法がおすすめです。
本を何冊も購入することより、研究目的と分析方法がつながっていることを優先しましょう。
おすすめ記事一覧
看護研究全体の進め方から確認したい方は、次の記事も参考にしてください。

