- はじめに
- この記事でわかること
- ChatGPTは「答えを出す道具」ではなく「整理を手伝う道具」
- ChatGPTは「判断」ではなく「整理」に使う
- 看護師がChatGPTを活用しやすい場面
- 1. 委員会活動のメモ整理
- 2. 学習会の構成案を作る
- 学習会資料作成の流れ
- 3. 文章をやさしく言い換える
- 4. チェックリストを作る
- ChatGPTで作れる業務支援リスト
- 5. アンケート項目のたたき台を作る
- 6. 発表原稿のたたき台を作る
- ChatGPTに入力してはいけない情報
- 入力する前に匿名化するコツ
- ChatGPTに入力してはいけない情報
- ChatGPTを使う時の基本ルール
- 看護師がChatGPTを使う時の5つのルール
- そのまま使えるChatGPTプロンプト集
- ChatGPTで時短できるが、丸投げはしない
- ChatGPT活用に向いている業務・向いていない業務
- ChatGPT活用のOK・NG
- 看護研究にもつながるChatGPT活用
- まとめ
- 関連記事案
はじめに
看護師の仕事では、患者さんへの直接ケアだけでなく、さまざまな「文章をまとめる業務」があります。
たとえば、
- 委員会の議事録
- 学習会の案内文
- 研修後アンケートのまとめ
- 業務改善の提案書
- カンファレンス用のメモ
- 看護研究のアイデア整理
- 発表原稿のたたき台
- スタッフ向けの説明文
などです。
「内容は頭の中にあるけれど、文章にするのが苦手」
「メモはあるけれど、うまく整理できない」
「学習会資料を作りたいけれど、構成が思いつかない」
このように感じる看護師も多いのではないでしょうか。
そこで活用したいのが、ChatGPTです。
ChatGPTは、文章の整理、要約、構成作成、言い換え、チェックリスト作成などに使えるAIチャットツールです。OpenAIはChatGPTを、アイデア出し、問題解決、学習などに使えるAIチャットボットとして提供しています。
ただし、医療現場で使う場合は注意が必要です。
患者情報、職員が特定される情報、施設内部の機密情報などをそのまま入力してはいけません。医療・ヘルスケア分野の生成AI利用では、組織として利用可能か、入力データが再学習に利用されない設定か、個人情報を入力してよいかなどを確認する必要があるとされています。
この記事では、看護師がChatGPTを安全に使いながら、業務メモや委員会資料、学習会準備を効率化する方法を、初心者向けに解説します。
「看護研究でChatGPTを使いたい方は、研究テーマ整理やアンケート分析に特化した記事も参考にしてください。」
リンク:ChatGPTを看護研究に活用する方法|テーマ整理からアンケート分析まで
この記事でわかること
この記事では、以下の内容を解説します。
- 看護師がChatGPTを使える場面
- ChatGPTに入力してよい情報・避けるべき情報
- 業務メモを整理する使い方
- 委員会活動での活用方法
- 学習会資料のたたき台を作る方法
- そのまま使えるプロンプト例
- 医療現場で使う時の注意点
ChatGPTは「答えを出す道具」ではなく「整理を手伝う道具」
まず大切なのは、ChatGPTを正解を出してくれる道具と考えないことです。
看護師の仕事では、患者さんの状態、施設ルール、医師の指示、部署の状況、倫理面、安全面などを総合的に判断する必要があります。
そのため、ChatGPTの回答をそのまま業務判断に使うのは危険です。
おすすめの使い方は、以下のような補助的な活用です。
- メモを整理する
- 文章をわかりやすくする
- 学習会の構成案を出す
- チェックリストを作る
- 説明文をやさしく言い換える
- アンケート項目のたたき台を作る
- 発表原稿の流れを整える
つまり、ChatGPTは判断を任せる相手ではなく、考えを整理する相手として使うのが安全です。
ChatGPTは「判断」ではなく「整理」に使う

看護師がChatGPTを活用しやすい場面
看護師がChatGPTを使いやすいのは、個人情報を入れなくてもできる作業です。
たとえば、以下のような場面です。
1. 委員会活動のメモ整理
委員会では、話し合いの内容をまとめたり、次回までの課題を整理したりすることがあります。
しかし、会議中のメモは断片的になりやすいです。
たとえば、
- 防災訓練の参加率が低い
- アクションカードの保管場所を知らないスタッフがいる
- 次回の学習会で確認したい
- アンケートを取りたい
- 物品点検表も見直す
このようなメモをChatGPTに入力すると、以下のように整理できます。
プロンプト例
以下の委員会メモを、
- 決定事項
- 課題
- 次回までにやること
の3つに整理してください。
【メモ】
防災訓練の参加率が低い。アクションカードの保管場所を知らないスタッフがいる。次回の学習会で確認したい。アンケートを取りたい。物品点検表も見直す。
出力イメージ
決定事項:
- 次回の学習会でアクションカードの保管場所を確認する
- 防災に関するアンケートを実施する
課題:
- 防災訓練の参加率が低い
- アクションカードの保管場所を知らないスタッフがいる
- 物品点検表の見直しが必要
次回までにやること:
- アンケート項目を作成する
- 学習会の内容を検討する
- 物品点検表の現状を確認する
このように、バラバラのメモを整理するだけでも、次の行動が見えやすくなります。
2. 学習会の構成案を作る
看護師は、院内学習会や部署内勉強会を担当することがあります。
しかし、学習会の準備では、
「何から説明すればいいのか」
「新人向けにどこまで話せばいいのか」
「スライド構成が思いつかない」
と悩むことがあります。
そんな時は、ChatGPTに対象者・時間・目的を伝えると、構成案を作りやすくなります。
プロンプト例
新人看護師向けに、15分程度の学習会を行います。
テーマは「インシデントレポートの書き方」です。
目的は、インシデントレポートを責められるものではなく、再発防止のための記録として理解してもらうことです。
スライド構成案を5枚で作成してください。
出力させたい内容
- タイトル
- 各スライドの見出し
- 伝えるポイント
- 図解案
- 最後のまとめ
ChatGPTに構成案を出してもらうことで、ゼロから考える負担を減らせます。
ただし、内容は必ず施設のルールや院内マニュアルに合わせて修正しましょう。
学習会資料作成の流れ

3. 文章をやさしく言い換える
看護師向けの資料では、専門用語が多くなりがちです。
新人看護師、看護学生、他職種、患者家族向けに説明する場合は、わかりやすい表現に直す必要があります。
ChatGPTは、難しい文章をやさしく言い換える用途にも使えます。
プロンプト例
以下の文章を、新人看護師にもわかるように、やさしい表現に言い換えてください。
専門用語は必要最低限にしてください。
【文章】
インシデントレポートは、発生した事象の原因を個人に求めるのではなく、再発防止のためにシステム上の課題を共有する目的で作成する。
言い換え例
インシデントレポートは、誰かを責めるためのものではありません。
同じことがもう一度起きないように、何が起きたのか、どこに改善点があるのかをみんなで共有するための記録です。
このように、文章のトーンをやさしくする時にも便利です。
4. チェックリストを作る
看護師の業務では、抜け漏れを防ぐためにチェックリストが役立ちます。
ChatGPTは、チェックリスト作成のたたき台にも使えます。
たとえば、
- 学習会準備チェックリスト
- 委員会活動チェックリスト
- 看護研究発表前チェックリスト
- 物品点検チェックリスト
- 新人指導前の確認リスト
- カンファレンス準備リスト
などです。
プロンプト例
部署内学習会を開催する前に確認するチェックリストを作成してください。
対象は看護師です。
準備前、当日、終了後に分けてください。
出力イメージ
準備前:
- テーマを決める
- 対象者を決める
- 日時を決める
- 資料を作成する
- 必要物品を確認する
- 参加者へ案内する
当日:
- 会場を準備する
- 出席者を確認する
- 資料を配布する
- 時間配分を確認する
- 質問時間を設ける
終了後:
- アンケートを回収する
- 参加者の反応をまとめる
- 次回への改善点を記録する
- 資料を共有フォルダに保存する
このように、ChatGPTを使うと、準備の抜け漏れを減らすためのリストを作りやすくなります。
ChatGPTで作れる業務支援リスト

5. アンケート項目のたたき台を作る
委員会活動や学習会後の振り返りでは、アンケートを作る場面があります。
ChatGPTは、アンケート項目のたたき台作成にも使えます。
ただし、看護研究として使用する場合は、研究目的、対象者、倫理面、分析方法を確認したうえで、指導者や施設のルールに沿って修正する必要があります。
プロンプト例
看護師向けの学習会後アンケートを作成します。
テーマは「災害時の初動対応」です。
5段階評価の質問を5項目、自由記述を2項目作成してください。
個人が特定される質問は入れないでください。
出力イメージ
5段階評価:
- 災害発生時に最初に確認することが理解できた
- 自分の安全確保の重要性が理解できた
- 患者安全を確認する流れが理解できた
- 部署内での報告方法が理解できた
- 今後の災害訓練に参加する必要性を感じた
自由記述:
- 今回の学習会で特に役立った内容を教えてください
- 今後、災害対応について学びたい内容を教えてください
アンケート項目は、ChatGPTが出したものをそのまま使うのではなく、研究目的や施設の運用に合わせて修正しましょう。
「文献を読み込んで整理したい場合は、NotebookLMの活用記事も参考になります。」
リンク:NotebookLMで看護研究の文献整理を効率化する方法|論文要約から発表準備まで
6. 発表原稿のたたき台を作る
看護研究や委員会報告では、スライドは作れても、発表原稿で悩むことがあります。
ChatGPTには、スライド見出しをもとに発表原稿のたたき台を作らせることができます。
プロンプト例
以下のスライド構成をもとに、5分発表用の原稿を作成してください。
対象は院内の看護師です。
専門用語は使いすぎず、聞き取りやすい文章にしてください。
【スライド構成】
- 研究テーマ
- 背景
- 目的
- 方法
- 結果
- 考察
- 今後の課題
このように依頼すると、発表の流れを作ることができます。
ただし、結果や考察の内容は、必ず自分たちの研究データに基づいて修正してください。
AIに結果を作らせたり、実際には行っていない内容を加えたりしてはいけません。
「スライド作成まで進めたい場合は、CanvaやPowerPointの資料作成記事につなげます。」
リンク:Canvaで看護研究の発表資料を作る方法|PowerPointが苦手でも見やすい資料を作成
ChatGPTに入力してはいけない情報
医療現場でChatGPTを使う時に、最も注意したいのが情報の入力です。
以下のような情報は、原則として入力しないようにしましょう。
- 患者氏名
- 生年月日
- ID番号
- 住所
- 電話番号
- 顔写真
- 病名と経過が組み合わさった具体的情報
- 手術日や入院日など個人が推測される情報
- 職員名
- 部署内の内部トラブル
- 施設名が特定される詳細情報
- 未公開の院内資料
- 電子カルテの記載内容そのもの
医療情報システムの安全管理では、医療情報の取り扱い、外部保存、生成AIサービスへ医療情報を入力する場合の条件などが論点になります。厚生労働省のガイドラインやQ&Aでも、医療情報の保存、外部サービス利用、生成AIサービスのプロンプト入力に関する留意点が示されています。
ChatGPTを使う時は、個人情報を入れないことを基本にしましょう。
入力する前に匿名化するコツ
どうしても具体例を使って文章を整えたい場合は、個人が特定されない形に置き換えます。
悪い例
A病院手術室で、2026年7月1日に、3歳男児の〇〇手術中に発生したインシデントについて、報告文を作成してください。
修正例
小児患者の手術中に発生した、物品準備に関する一般的なインシデント報告の文章構成を作成してください。
個人情報や施設名は含めず、再発防止の視点でまとめてください。
このように、
- 固有名詞を消す
- 日付を消す
- 年齢をぼかす
- 病名や術式を一般化する
- 施設名を入れない
- 実際の記録をそのまま貼らない
という工夫が必要です。
ChatGPTに入力してはいけない情報

ChatGPTを使う時の基本ルール
看護師がChatGPTを使う時は、次のルールを意識しましょう。
1. 個人情報を入力しない
患者さん、家族、職員、施設が特定される情報は入力しません。
2. 最終判断は人が行う
ChatGPTの出力は、あくまでたたき台です。
内容の正しさ、施設ルールとの整合性、倫理面、安全面は人が確認します。
3. 院内ルールを確認する
施設によって、生成AIの利用可否や利用範囲は異なります。
個人判断で使わず、院内の情報管理ルールを確認しましょう。
4. 医療判断には使わない
診断、治療、投薬、処置判断などをChatGPTに任せてはいけません。
看護師が使う場合は、文章整理や資料作成の補助に限定するのが安全です。
5. 出力内容を必ず見直す
ChatGPTは自然な文章を作れますが、誤った内容を含むことがあります。
そのため、出力された文章は必ず確認し、必要に応じて修正します。
看護師がChatGPTを使う時の5つのルール

そのまま使えるChatGPTプロンプト集
ここでは、看護師が業務支援で使いやすいプロンプトを紹介します。
個人情報や施設名を入れずに使ってください。
委員会メモを整理するプロンプト
以下の委員会メモを整理してください。
出力は、
- 決定事項
- 課題
- 次回までにやること
- 担当者を決めた方がよい項目
に分けてください。
【メモ】
ここに個人情報を含まないメモを入力
学習会の構成案を作るプロンプト
看護師向けに、〇分程度の学習会を行います。
テーマは「〇〇」です。
対象は「新人看護師/中堅看護師/部署スタッフ」です。
目的は「〇〇を理解してもらうこと」です。
スライド構成案を〇枚で作成してください。
各スライドに、見出し、伝えるポイント、図解案を入れてください。
説明文をやさしくするプロンプト
以下の文章を、新人看護師にもわかるように、やさしい表現に言い換えてください。
専門用語は必要最低限にし、短い文で説明してください。
【文章】
ここに文章を入力
チェックリストを作るプロンプト
〇〇を行う前に確認するチェックリストを作成してください。
対象は看護師です。
準備前、当日、終了後に分けてください。
抜け漏れを防ぐ目的で、実用的な項目にしてください。
アンケート項目を作るプロンプト
看護師向けのアンケート項目を作成してください。
テーマは「〇〇」です。
目的は「〇〇を把握すること」です。
5段階評価の質問を〇項目、自由記述を〇項目作成してください。
個人が特定される質問は入れないでください。
発表原稿を作るプロンプト
以下のスライド構成をもとに、〇分発表用の原稿を作成してください。
対象は院内の看護師です。
聞き取りやすい文章にしてください。
結果や考察は、事実をもとに後で修正できるように、たたき台として作成してください。
【スライド構成】
ここにスライド見出しを入力
ChatGPTで時短できるが、丸投げはしない
ChatGPTを使うと、文章作成や資料作成の時間を短縮できます。
しかし、丸投げはおすすめしません。
看護師の業務では、現場の実情や施設ごとのルールが重要です。
AIが作った文章は、きれいに見えても、
- 現場に合っていない
- 施設ルールと違う
- 表現が強すぎる
- 根拠があいまい
- 看護師の実感とずれている
ということがあります。
そのため、ChatGPTは最初のたたき台を作る道具として使い、最後は自分たちの現場に合わせて直すことが大切です。
ChatGPT活用に向いている業務・向いていない業務
向いている業務
- 文章のたたき台作成
- メモ整理
- 要約
- 言い換え
- チェックリスト作成
- 学習会構成案
- アンケート案
- 発表原稿の流れ作り
向いていない業務
- 患者個別の判断
- 診断や治療方針の判断
- 電子カルテ内容の直接入力
- 個人情報を含む相談
- 施設内部の機密情報の整理
- 最終的な医療安全判断
ChatGPTは便利ですが、使う範囲を間違えないことが大切です。
ChatGPT活用のOK・NG

看護研究にもつながるChatGPT活用
ChatGPTは、看護研究にも活用できます。
たとえば、
- 研究テーマの整理
- 研究目的の言い換え
- アンケート項目のたたき台
- 考察の構成整理
- 発表原稿の作成補助
- 質疑応答の想定質問作成
などです。
ただし、看護研究で使う場合は、研究倫理、個人情報保護、施設ルールの確認が必要です。
本ブログでは、看護研究に特化したChatGPT活用や、Googleフォーム、NotebookLM、Canvaなどの使い方も別記事で紹介しています。
まとめ
ChatGPTは、看護師の業務をすべて代わりに行うものではありません。
しかし、
- メモを整理する
- 文章をわかりやすくする
- 学習会の構成案を作る
- チェックリストを作る
- アンケート項目のたたき台を作る
- 発表原稿の流れを整える
といった使い方であれば、業務の負担を減らす助けになります。
大切なのは、ChatGPTを判断する道具ではなく、整理する道具として使うことです。
患者情報や施設情報を入力せず、院内ルールを確認し、出力内容を必ず人が見直す。
この基本を守れば、ChatGPTは看護師の業務支援ツールとして活用できます。
忙しい看護師ほど、文章作成や資料作成に時間を取られがちです。
まずは、個人情報を含まない委員会メモや学習会構成案から、ChatGPTを安全に試してみてください。

